2008 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポートソームにおけるscaffold蛋白の役割の解析
Project/Area Number |
17081008
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
畑 裕 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80313237)
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Keywords | トランスポーター / チャネル / 細胞接着 / 細胞死 / scaffold |
Research Abstract |
イオンや低分子を運ぶトランスポーター、チャネルは生体の恒常性維持に重要である。これまでにきわめて多くのトランスポーター、チャネルが同定され、その個々の機能については多くの知見が得られている。しかし、トランスポーター、チャネルの生理機能の全体を理解するためには、トランスポーターやチャネルと相互作用する分子全体を対象として、機能的な分子複合体 (トランスポートソーム) を解析する必要がある。本研究では、トランスポートソームの中でも、とくに複数の蛋白相互作用モジュールをもつscaffold蛋白に焦点をあてている。平成20年度には、EGF受容体やクロライドチャネルのscaffold蛋白として機能するMerlinから制御を受けると想定されるシグナル伝達系の解析を中心に行った。その結果、1) シグナル伝達系の中核をなす蛋白リン酸化酵素MST2に少なくとも3つの分子(hWW45、MOB1、RASSF6)が結合して複合体を形成し、MST2の活性化によって複合体の組み換えがおこること、すなわち酵素そのものが動的なscaffoldとなること、2) MST2はMOB1の複数のサイトをリン酸化して、さらに下流の複数の蛋白リン酸化酵素を活性化するが、その際にどの蛋白リン酸化酵素が活性化されるかは、MOB1のどのサイトがリン酸化されるかによって影響されること、すなわちMOB1はリン酸化依存的なバーフードとして機能するscaffoldであることを明らかにした。 つまり、チャネル・受容体を直接裏打ちするscaffold蛋白の下に、さらに複数のscaffold蛋白が位置付けられ、しかも、それらを中心に動的な分子間相互作用の組み換えが起こっていることが示された。
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