2008 Fiscal Year Annual Research Report
1分子計測・操作による細胞膜ラフト分子複合体の形成と機能の解明
Project/Area Number |
17081010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楠見 明弘 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (50169992)
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Keywords | IgE-Fc受容体 / 可塑的分子複合体 / ナノドメイン / 細胞膜 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「シグナル分子が働く場」として注目されている細胞膜中のラフトについて、それの形成機構とシグナル伝達への関与を解明することである。本研究では、特に、CD59(補体第8成分の受容体でGPIアンカー型タンパク質)とIgE-Fc受容体(1回膜貫通型蛋白質)のかかわるシグナル伝達機構を、我々の開発してきた1分子観察/操作法を用いて検討する。我々の作業仮説は、「ラフトは可塑的で、状況に応じて違ったシグナル分子を集積して、経路間の切り替えやクロストークを起こす場として重要である」というものである。本年度は、生細胞の細胞膜において、コレステロール分子の分布と1分子ダイナミクスを検討し、100nmレベルでのコレステロール濃度・ガングリオシド濃度・GPIアンカー型タンパク質濃度に、極めて強い相関があること、さらに、コレステロール同士の共局在の時間は、リン脂質同士のそれよりも、はるかに長いことを示した。 また、CD59などのGPIアンカー型タンパク質にリガンドが結合したとき、会合体を作ることを、前年度までの研究で見いだした。そのときに、会合体の内部にコレステロールと糖脂質が集合してきて、ラフト様構造を作るらしいことが分かりつつある。一方、細胞外からの刺激が入る前に、CD59分子には、モノマーとダイマーの両方の成分があり、ダイマーはコレステロール依存的に出来ること、しかし、ダイマーになっても、特に、細胞膜直下に存在するアクチン膜骨格に結合するわけではないことが示された。
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