2005 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポートソーム小胞輸送における膜融合機構の多光子励起過程を用いた可視化解析
Project/Area Number |
17081017
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
根本 知己 生理学研究所, 脳機能計測センター, 助教授 (50291084)
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Keywords | 生理学 / カルシウムシグナル / 2光子顕微鏡 / 外分泌腺 / 高性能レーザー / 開口放出 / 生物物理学 |
Research Abstract |
トランスポートソーム構成分子は、固有のプラットホームの膜分画に輸送小胞の膜融合により挿入され複合体化し機能する。このような分画、細胞内小器官間の小胞輸送や開口放出など膜輸送系に必須の分子として、酵母から哺乳動物まで広く進化上保存されたSNARE連関タンパク質群が同定されている。特に、輸送小胞膜と標的膜と融合の際には、融合細孔の形成に先立ち、対面する2膜に各々局在するSNAREコアタンパク質分子(SNAP25,VAMP2,syntaxin)がSNAREコア複合体を形成することが必要であるとされている。しかし、この分子複合体がどのように物理的な膜融合を引き起こすのか、その作用機序や生理的機能は未解明である。この問題の解決には生理的な環境下でSNAREコア複合体形成と融合細孔形成の因果関係や作用機序を解析し、明確化することが必須である。本研究では多光子励起法によるイメージングや光活性化法、遺伝子工学学的蛍光タグ化技術を発展させ、Ca^<2+>濃度上昇、SNAREコア複合体の形成、融合細孔形成の間の空間的時間的な関係を定量的に明らかにすることを目的とする。初年度の本年度の約半年間では、以下のように、主として実験計測システムやプロトコルの確立を中心に研究を実施した。(1)2光子アンケージ顕微鏡の開発 ケージド物質を用いイオンチャンルを機能マッピングを行う手法は中枢神経細胞のグルタミン酸受容で成功していた。そこで、これらの知見に基づき、膵臓外分泌腺におけるイオンチャネルの集積状態を可視化解析を可能とする2光子アンケージ顕微鏡の構築を行い、カルシムナノドメインを人工的に出現させることに成功した。(2)SNARE分子蛍光標識法の確立 細胞膜に局在するSNAP25に緑色蛍光化を行い、ラット副腎髄質由来親クロム性細胞腫細胞に安定発現させる系を確立させた。さらに蛍光化SNAREコアタンパク質の集積状態を開口放出との同時イメージングにより検討した。(3)Noc2の機能の解析 低分子量GTPaseRab3のエフェクターNoc2の膜融合過程における機能についてノックアウトマウスを用いて検討、解析を行った。
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