2008 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポートソーム小胞輸送における膜融合機構の多光子励起過程を用いた可視化解析
Project/Area Number |
17081017
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
根本 知己 National Institute for Physiological Sciences, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (50291084)
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Keywords | 生理学 / 高性能レーザー / 生体分子 / 生物物理 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、多光子顕微鏡法の展開により、小胞動態、融合細孔形成の時間的空間的な因果関係を明らかにすることを目的として研究を実施した。シナプス前終末における神経分泌の開口放出や分泌小胞輸送、リサイクリング過程には、酵母から哺乳動物まで広く進化上保存されたSNARE連関タンパク質群が必須であると考えられている。近年、開口放出の際、融合細孔の形成には、SNAREコア複合体の形成が必須であると考えられている(SNARE仮説)。しかし、この分子複合体がどのように膜融合を引き起こすのか、その作用機序は未解明である。この問題の解決には生理的な環境下で、カルシウム動態とSNARE複合体形成と融合細孔形成の因果関係やその生理機能と作用機序を生理的条件下で測定・解析し、明確化することが必須である。その観点から、本年度は特にA03-内田班(東京医科歯-科大学)による水チャネル分子の生理機能について2光子断層可視化解析を実施した。その結果、膵臓外分泌腺細胞ではカルシウム依存性の電解質輸送が生理的な逐次開口放出に重要であることと、その生理機能実現のためには分泌顆粒膜上のAQP12分子が必須であることが示唆された。また、新たに九州大学作成のノックアウトマウスを対象に解析を行い、GABA_A受容体結合分子の小胞輸送おける機能について新たな知見を得ることに成功した。また連携研究者・高橋信之博士(京都大学)等により、グルコース輸送体(GLUT4)の可視化への準備を行った。また正立型顕微鏡装置を導入し、2光子励起法のin vivo可視化アッセイや生理活性研究への応用可能性を拡張した。特に、肝組織や皮膚組織への適用によりin vivoFRAP法(企業との特許出願準備中)や結合組織の非侵襲的可視化に成功し、輸送小胞による生理的機能調節の分子基盤の可視化解析について、さらなる展開が拓けてきた。
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