2009 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポートソーム小胞輸送における膜融合機構の多光子励起過程を用いた可視化解析
Project/Area Number |
17081017
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
根本 知己 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (50291084)
|
Keywords | 開口放出 / 高機能レーザー / 急性膵炎 / インシュリン / エンドサイトーシス / グルコース輸送体 / 蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
トランスポートソーム構成分子は、固有のプラットホームの膜分画に輸送小胞の膜融合により挿入され機能する。そこで、本研究課題では、輸送小胞の膜融合過程の観点から、トランスポートソーム分子の集積の機序や、その生理機能を明らかにすることを目指した。本年度は開発してきた高精度生体イメージング手法を展開し、多様な分泌性細胞への応用可能性と連関する生理・病理機能の解析を進めた。 1.Ca^<2+>濃度上昇から融合細孔形成に至る分子の動態を定量的に解明するため、多光子励起法と蛍光タグ法を発展させた。特に、世界で最も蛍光波長の短い蛍光タンパク質シリウスの共同開発に成功し公表した。さらにそれを用いた2光子励起4波長蛍光同時計測システムの確立にも成功し、細胞内Ca^<2+>濃度上昇とカスパーゼの活性化の同時可視化解析に成功している。 2.グルコース輸送体(GLUT4)の輸送小胞の膜挿入とエンドサイトーシスの時空間的機序を明らかにするため、脂肪細胞モデル系として、GFPタグ化GLUT4を発現する株化細胞ラインを連携研究者と共に確立した。インシュリン刺激下において細胞膜へのトランスロケーションを示唆する結果を得た。 3.水イオンチャネル(AQP12)の機能について、内田班の作製したKOマウスを用いて2光子励起断層イメージングによる解析を行った。その結果、急性膵炎発症初期過程においてAQP12は分泌後の酵素原小胞の、病理的な空胞様構造化を抑制するという生理的機能を有する可能性が明らかになった。 インシュリン分泌におけるIP3結合分子PRIP1,2の機能について、連携研究者作製のDKOマウスを用いて検討した。膵臓β細胞の融合細孔形成過程の2光子断層可視化の結果、Ca^<2+>依存性開口放出の第II層に於いてPRIPは抑制的に機能し、高インシュリン血症に深く関連している可能性があった。
|