2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の運命と挙動を支配する細胞外環境のダイナミズム
Project/Area Number |
17082001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長澤 丘司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (80281690)
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Keywords | サイトカイン / マトリックス / 蛋白修飾酵素 / ニッチ / 発生 |
Research Abstract |
細胞外環境として表現して来た抽象的概念の本体の理解は十分ではなかった。そこで、本特定領域研究では、細胞外環境の構成要素である信号分子、マトリックス分子、それらの修飾分子を統合的に研究し、理解し合うことで、高次生命現象において細胞の運命と挙動を支配する生理的細胞外環境の本質を解明することを目的とした。本研究領域はA01「細胞外環境を構成するシグナル分子とその受容体」の研究項目とA02「細胞外環境を構成する細胞外マトリックスとその受容体」の研究項目およびA03「細胞外環境におけるシグナル分子、細胞外マトリックスの修飾」の研究項目からなり、本年度は、本領域研究の取りまとめを行った。項目1では、シグナル分子を含む細胞外環境を形成するニッチ細胞の実体、ニッチ細胞よりのシグナル分子の分泌、局在、活性化の制御機構、シグナル受容細胞での時間空間的シグナル受容調節機構という本研究分野の根幹をなす重要な問題において新しい概念を創成し、発展させた。項目2では、本研究分野で重要性が増している"ニッチを構成する基底膜等のマトリックス分子の生体の形成における特異的な機能と作用機序"が明らかになった。項目3では、遺伝学的アプローチの導入により、本研究分野で重要であるが曖昧であった"生体の形成におけるプロテアーゼ、糖鎖修飾酵素によるマトリックス分子・シグナル分子の修飾の意義と作用の分子機構"がより具体的に明らかになった。これらの成果より、領域の目的を十分達成されたと考え、報告書を作成した。また、成果の一部を2010年6月と8月に権威ある国際学会で発表した他、2011年2月に班員の二部と新進の研究者を招聘し、公開シンポジウムを開催した。平成22年度に受けた事後評価の結果は、最終評価A(研究領域の設定目的に照らして、十分な成果があった)であった。
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