2009 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカインCXCL12及びCXCL12発現細胞による生理的細胞外環境の形成
Project/Area Number |
17082002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長澤 丘司 Kyoto University, 再生医科学研究所, 教授 (80281690)
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Keywords | ケモカイン / 骨髄 / 造血幹細胞 / Bリンパ球 / ニッチ |
Research Abstract |
私たちは、昨年度までに造血幹細胞やBリンパ球のニッチ細胞の候補として成体骨髄でCXCL12高発現細網細胞(CAR細胞)を同定した。本年度、CAR細胞は骨髄での造血を支持する機能的細胞外環境を形成する重要な細胞であることを示唆した。 (1) CAR細胞と造血幹細胞との相互作用の解明。 世界的に造血幹細胞の可視化が十分でなく、造血幹細胞の局在は証明されるに至っていない。最近、細胞周期が145日と非常に遅い造血幹細胞(dHSC)の同定が報告されたのでBrdUを用いて可視化した。これによって、dHSCの骨髄内での局在、CAR細胞、SNO細胞との相互作用を組織学的に解析することが可能となった。 (2) CAR細胞の血液系細胞の発生、再生における役割の解析。 CXCL12遺伝子をヒトジフテリア毒素(DT)受容体遺伝子に置換したノックインマウスを作製した。適切なDTの投与量により、CAR細胞が著明に減少したが他のニッチ細胞候補である骨芽細胞、血管内皮細胞は著差がないことを確認し、生体骨髄のCAR細胞を特異的に欠損させることができたため、その造血を解析した。 (3) 骨髄でニッチを形成する支持細胞による造血制御の全貌の解明。 骨髄でニッチを形成する大部分の支持細胞を同定することができた。更に支持細胞での既知のマトリックス分子の発現を解析し、特異的に発現する分子を同定した。また、CAR細胞での発現が特異的である造血に必須のサイトカインを同定した。 (4) 血液系細胞の発生を制御する細胞外環境のin vitroでの再構築。 CAR細胞は、従来の培養条件では培養容器に付着せず培養できないが,数日間培養することができる方法を開発した。
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