2008 Fiscal Year Annual Research Report
分泌性シグナルタンパク質の細胞外環境における動態とその作用機構
Project/Area Number |
17082012
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
高田 慎治 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (60206753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤沼 啓志 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別協力研究員 (50450721)
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Keywords | 発生・分化 / 遺伝子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究では、分泌性シグナルタンパク質が細胞外環境へどのように分泌され、そこでどのように拡散が制御され、さらにその濃度情報を細胞がどのように認識するのかという問題に取り組む。特に、尾芽で産生されるWntとFGFに着目し、(1)その分泌、拡散の機構と(2)その濃度情報認識機構に焦点を当てその解明を目的に研究を行う。(1)に関しては、前年度までの研究から、Wnt3aは小胞体タンパク質porcupineによってモノ不飽和脂肪酸により修飾されており、この修飾がWntタンパク質の分泌過程のうち小胞体からの輸送に必須であることを、さらに分泌されたWntタンパク質は高分子複合体を形成することを明らかにした。今年度は、脊椎動物の胚発生におけるporcupineの役割を解明するために機能阻害実験を行い、porcupineがゼブラフィッシュの初期発生、なかでも原腸陥入運動における収斂伸長に必要であることを明らかにした。収斂伸長はWntシグナル伝達経路のうちの非古典的経路で制御されていることから、porcupineは少なくとも非古典的経路を制御するWnt蛋白質の分泌に関わることが示唆された。一方、細胞外に分泌されたWnt-3aタンパク質の生化学的解析を進めた結果、ショウジョウバエでの報告とは異なりリポ蛋白質複合体は形成していないことが判明した。また、会合する他のタンパク質もほとんどなく、Wntタンパク質はホモ多量体として分泌されていることが明らかとなった。(2)に関しては、尾芽における体節形成過程においてFGFシグナルの濃度情報認識機構の解明に焦点を当て、FGFシグナルによる誘導機構に異常を示す変異体ゼブラフィッシュの原因遺伝子を同定した。同定された遺伝子はRNAの核外輸送因子をコードしており、FGFシグナルの濃度情報認識機構に関わる遺伝子のRNA輸送が選択的に制御されている可能性が示唆された。
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