2009 Fiscal Year Annual Research Report
分泌性シグナルタンパク質の細胞外環境における動態とその作用機構
Project/Area Number |
17082012
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
高田 慎治 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (60206753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤沼 啓志 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別協力研究員 (50450721)
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Keywords | 発生・分化 / 遺伝子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究では、分泌性シグナルタンパク質が細胞外環境へどのように分泌され、そこでどのように拡散が制御され、さらにその濃度情報を細胞がどのように認識するのかという問題に取り組んで来た。特に、尾芽で産生されるWntとFGFに着目し、その分泌、拡散の機構ならびに細胞外での動態について解析を進めた。前年度までの研究から、Wnt3aは小胞体タンパク質porcupineによってモノ不飽和脂肪酸により修飾されており、この修飾がWntタンパク質の分泌過程のうち小胞体からの輸送に必須であること、分泌されたWntタンパク質は高分子複合体を形成すること、また脂肪酸修飾を担う酵素であるporcupineが胚発生に担う役割をゼブラフィッシュを用いて明らかにした。今年度は、ゼブラフィッシュのporcupineの機能阻害実験から、初期胚におけるporcupineの機能阻害の影響が特定のWntタンパク質に特異的であることが示唆されたため、その検証実験を行った。その結果、porcupineの機能阻害胚では、特定の種類のWntタンパク質の分泌が特異的に阻害されることが示され、Wntの分泌におけるporcupineを介したWntの脂肪酸修飾には何らかの基質特異性が存在することが示された。この研究と平行して、細胞外におけるWntタンパク質の動態を調べるため、GFPを融合させたWnt-3aタンパク質をアフリカツメガエルの上皮細胞に発現させ、ライブ観察を行った。その結果、Wntタンパク質は細胞の頂端側にドット状に局在することがわかった。この構造は長時間安定でかっ同じ場所にとどまることから、細胞外においてWntは自由に拡散するのではなく、むしろ局所的に局在することで効率よくシグナルを伝達しているものと考えられた。
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