2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17083006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河澄 響矢 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (30214646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 和夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40011720)
小松 彦三郎 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 名誉教授 (40011473)
渡邉 純成 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (10262221)
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Keywords | 西学東漸 / 数学史 / 医学史 / 清朝政治史 / アルタイ言語学 / 東アジア儒学思想史 / 書誌学 / 大成算經 |
Research Abstract |
1. 満文科学技術文献と清代前半の西欧科学受容の概観について、西欧科学受容の様態は清朝の政治構造を反映して旗人社会と漢人社会とで異なり、その時代的変遷-清代前半における,西欧科学技術情報の宮廷への集約-が政治構造の変動と大局的には連動していることを解明して、単行本や国際学会/研究集会での口頭発表を通じて公表した。個別事例としての科学のパトロン年希堯の研究も成果の一端を小伝として公表した。 2. 満文医学文献『満文痘疹薬書』、『鍼灸の霊妙な方法』について、既存の書誌の訂正と翻字テキストの公開とを、印刷物を通じて行った。 3. 満文科学技術文献の語法・語彙を研究するため、満文儒学・性理学文献を組織的に収集し、電子テータベースの作成に着手した。本領域重点項目「訓読の思想文化」の一環としてこれらの文献を言語史・思想史の観点から分析して、康煕~咸豊年間における訳語と訳文の時代変化を具体的・包括的に解明し、乾隆20年代が最大の転換点であったことを確定させ、『四書集注』満洲語訳が康煕年間の成立であることなど個別の文献の成立時期も解明して、満洲語の条件表現などを研究する際の確実な基礎を得た。研究上の基本資料として、『満文性理精義』巻一~四・六~十の翻字、『大学』『中庸』本文の各種満洲語訳の翻字を作成し、印刷物として関連分野の研究者間に公開した。 4. 東京大学文字部漢籍コーナー所蔵の満文文献の目録作成を完了し印刷して公開した。 5. 『大成算経』について、各巻の暫定的な書き下し文の作成と数学的内容の解明を進めた。
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