2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17084005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島崎 研一郎 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (00124347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 道生 九州大学, 高等教育総合開発研究センター, 助手 (00167537)
木下 俊則 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (50271101)
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Keywords | 気孔 / フォトトロピン / 青色光 / 情報伝達 / H^+ATPase |
Research Abstract |
気孔開口におけるフォトトロピンを介した情報伝達系について研究を行い、以下の成果を得た。 (1)フォトトロピンから細胞膜H^+-ATPaseへの情報伝達をタイプ1プロテインフォスファターゼが仲介する事を証明した。これを制御する可能性のあるインヒビター3について調べた。植物のインヒビター3中に存在する結合モチーフの中にはリン酸化部位が含まれており、動物のものには存在しない植物固有のものであった。そこで、この部位を人工的にリン酸化するとタイプ1プロテインフォスファターゼから解離し、阻害効果が低減した。この事実は、インヒビター3が上流にキナーゼによりリン酸化され、制御因子としてのインヒビター3のフォスファターゼが活性化される事を示している。特に、上流に存在することの明らかなフォトトロピン自身の基質になっている可能性がある。インヒビター3の破壊株を作出したが致死であった。現在、別の方法でインヒビター3の機能解析を行っている。 (2)フォトトロピンから下流への情報伝達に際してフォトトロピンが自己リン酸化される事が分かっているが、自己リン酸化の生理学的意味は不明である。その点を解明するため、リン酸化部位の決定を質量分析によって行った。その結果、リン酸化部位が8個決定され、その大部分は新たに見いだされたものであった。このリン酸化の機能解析を行うため、それぞれのリン酸SerをAlaに置き換えたコンストラクトを構築し、これをphot1 phot2二重変異体に導入し、機能回復を調べた。その結果、新たに見つかったキナーゼドメイン中の851番目のSerがフォトトロピンの気孔開口におけるシグナル伝達に必要であった。興味深いことにこの部位はその他のフォトトロピン依存の反応、光屈性、葉緑体運動、葉の平滑化にも必要であった。以上の結果は、フォトトロピンの自己リン酸化の特定部位が光情報伝達に必須である事を示している。
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