2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17084005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島崎 研一郎 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (00124347)
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Keywords | 気孔 / フォトトロピン / 青色光 / 情報伝達 / H^+-ATPase |
Research Abstract |
気孔の光情報伝達系に関して、本年度は以下の2つについて研究を遂行した (1) 根の光屈性に関与するRPT2(Root phototropism2)は気孔の情報伝達系に関与するか? RPT2は以前の研究により、気孔の青色光情報伝達に関与すると報告された。我々の気孔開口の測定に基づいた研究により、気孔に関与しない結果が得られるので、詳細に検討した。まず、変異株rpt2から表皮を調製し、青色光依存の気孔開口を測定すると、野生型と同様に開口した。このとき、この変異体の表現型は葉がカールしており、確かに、RPT2に変異が起きており、そのmRNAも発現していなかった。この変異株から孔辺細胞プロトプラストを調製し、これを用いて、青色光に誘導されるプロトン放出と細胞膜H^+-ATPaseのリン酸化を測定すると、どちらも野生型と同じであった。以上の、結果は、RPT2は葉の平滑化や光屈性に関与しているが、気孔の青色光情報伝達には関与しない事を示している。 (2) 次に、青色光情報伝達系とアブシジン酸情報伝達系のクロストークの分子機構を解明した。これまでの我々の研究により、アブシジン酸が青色光依存の気孔開口を阻害し、細胞膜H^+-ATPaseのリン酸化の阻害がその原因である事を特定したが、その分子機構は不明であった。今回、この阻害にアブシジン酸によって生成するフォスファチジン酸が、フォトトロピンと細胞膜H^+-ATPaseの間の情報伝達を仲介するプロテインフォスファターゼ1の触媒サブユニットと結合する事により、その情報伝達を阻害することを見いだした。今まで、なぜプロテインフォスファターゼ1が情報伝達体として機能するかその理由が不明であったが、この結果から、植物ホルモンと光情報伝達のクロストーク部位として機能すると推定された。
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