2009 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体光定位運動におけるphot2の情報発現機構の解析
Project/Area Number |
17084006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 正三 Kyushu University, 理学研究院, 特任教授 (60011681)
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Keywords | フォトトロピン / phot2 / シロイヌナズナ / 葉緑体 / 光逃避運動 |
Research Abstract |
葉緑体は強光下で逃避反応を示し、その光受容体は青色光を吸収するフォトトロピン2(phot2)である。一方、弱光下で起こる集合反応の光受容体はphot1とphot2である。従って、phot2は弱光下では集合反応、強光下では逃避反応という、相反する現象の光受容体として働いている。本研究の目的は、phot2の相反する二つの作用がどのようにして誘導されるかを明らかにすることである。本年度は葉緑体逃避運動に機能する葉緑体と細胞膜の間に存在するアクチン繊維(cp-actin filament)、及びその消長を制御するタンパク質CHUP1(chloroplast unusual positioning1)に対するphot2の関与を調べた。Cp-actin繊維は弱光下で葉緑体周縁部に存在するが、強光照射によって急速に消失した後、再度葉緑体の先端部に偏在して出現し、葉緑体は逃避する。このcp-actin繊維は葉緑体の外包膜上に存在するCHUP1によって重合されると考えられるが、YFPに依って可視化したCHUP1は粒状であり、強光照射によって先ず細分化し、葉緑体が逃避する方向に移動することが観察された。このcp-actin繊維の消長とCHUP1の挙動はほとんど同時に進行する。さらにこの現象はphot2変異体では起こらないことが明らかになったので、phot2の葉緑体上での存在をGFP融合タンパク質の蛍光によって調べた。その結果、phot2は葉緑体上と細胞膜の両方に局在することが分った。 さらにphot2のどのドメインが葉緑体外包膜への移行に関与しているかを調べた結果、phot2の葉緑体外包膜への移行には、phot2のC末端側約80アミノ酸が必要十分であることが分った。従って、phot2が葉緑体外包膜上と細胞膜上に存在することがphot2の相反する二つの作用の原因であることが強く示唆された。
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Research Products
(19 results)