Research Abstract |
本研究は,重要臓器を傷つけずに体内深部の患部にアクセスして最適な処置を行うたために、「外科医の新しい手」となる次世代型高機能エンドエフェクタ及び,エンドエフェクタを患部へ安全・確実に誘導し,術中の処置および処置後の確認・診断を行うための「外科医の新しい目」となる次世代型ナビゲーションの開発を目的とする. 本年度は,1)心拍動下の心腔内手術の画像による支援を目指し,GPU計算による実三次元画像(Integral Videography;IV)のレンダリングおよびレジストレーションを大幅に高速化し,ほぼリアルタイムでの表示を可能とした.2)患部の機能画像表示については,スペクトルを計測した箇所と病理診癖とを正確に比較する手法を提案し,ヒト脳腫瘍にて蛍光スペクトル分布を捕らえられることを確認した.3)ビームスプリッタ型可変視野内視鏡については,モータ駆動による直視/側視の切替えを実現し,ブタ腹腔内観察での視野変更を円滑に行えることを確認した.4)心拍動下の心腔内手術用デバイスとしては,内視鏡先端にフラッシュ液と血液を分離するためのセパレータを搭載し,ブタ拍動心内での三尖弁観察を可能とした.また,僧帽弁閉鎖不全治療用に開発したクリッピングデバイスについては,超音波画像誘導下で,ブタ拍動心内の弁尖をクリッピングできることを確認した.5)多自由度マニピュレータについては,細径化を目的としてワイヤを用いない新たな屈曲機構を考案し,プロトタイプの設計を行った.6)軟性術具を体内深部の患部付近まで周辺の重要組織を傷つけずに誘導するための,柔剛を切り替え可能な空圧制御の外套管を開発した.ブタ腹腔内にて,従来の内視鏡では観察できない臓器の裏側や間隙へ外套菅を挿入し,細径の軟性術具を体内深部まで安全に誘導できることを確認した.
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