2008 Fiscal Year Annual Research Report
希ガスをトレーサーとした太平洋における海洋循環の解明
Project/Area Number |
17101001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐野 有司 The University of Tokyo, 海洋研究所, 教授 (50162524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤尾 伸三 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (00242173)
高畑 直人 東京大学, 海洋研究所, 助教 (90345059)
田中 潔 東京大学, 海洋研究所, 助教 (20345060)
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Keywords | 海洋科学 / 地球化学 / 海洋物理・陸水学 / 地球観測 / 環境変動 |
Research Abstract |
東京大学海洋研究所運用の研究船白鳳丸および淡青丸を用いて海洋観測を継続した。平成20年7月に淡膏丸の航海を実施し、人工的にヘリウム-3を三陸沖の深海に投入した。さらに、10月〜11月の白鳳丸の航海で、その分布の変化を調べることにより深層の輸送や拡散の推定を試みるため、深層の海水試料を採取した。同時に、黒潮続流域における深層循環の時間変動、精密CTD観測による深層水塊の分布の研究を視野にいれて、ヘリウム分析用の試料採取も精力的に行った。 白鳳丸および淡青丸にてこれまでに採取した海水試料は、本研究で確立したヘリウム分析システムを運用して高精度分析を進めた。得られた結果からヘリウム同位体比の分布図を作成し、化学トレーサーから得られる深層循環像について考察した。また、分析データの確度および精度を検定するために、世界各地で採取された大気試料のヘリウム同位体比を測定し、その成果を論文として発表した。 東北沖に設置した流速計を10〜11月の白鳳丸の航海で回収し、再設置した。深層流の長期変動を明らかにすることを目的として実施している観測であるが、約3年分の連続観測データを得ることができた。この3年に加え、1997年に同地点で実施した測流結果の4年分と比較すると、年や時期により1年以下の短周期の変動は大きく異なる一方、卓越周期にはほとんど差がなく、さらに、1年程度の期間では平均流にほとんど変化がないことが明らかになった。 太平洋の循環を再現するための数値シミュレーション・モデルの構築を継続しており、特に太平洋に多い海溝や島弧、さらに日本近海に特徴的な海溝の流動に注目して、細かい地形を解像できるようにモデルを改良している。
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Research Products
(11 results)