Research Abstract |
本研究では、非接触原子間力顕微鏡(NC-AFM)を利用して、我々が発見したGe(111)-c(2×8)再構成表面に埋め込んだSn原子を室温でGe原子と入れ替えて動かす「異種原子位置交換型水平原子操作」の制御条件と機構の解明を行っている。本年度は、以下の研究成果が得られた。 (1)NC-AFM元素識別像による原子種の相対識別に、(Sn,Si),(Sn,Ge),(In,Si),(Sb,Si)のような「様々な2元素系」だけでなく、(Sb,Sn,Si)のような「3元素系」でも成功した。 (2)NC-AFM元素識別像による原子種の相対識別に、Sn/Si(111)7x7,Sn/Si(111)-(【square root】3【square root】×3),Sn/Ge(111)-c(2x8),Sn/Ge(111)5x5,Si(111)5【square root】3×5【square root】3-Sbのような「様々な表面構造」で成功した。 (3)アトムトラッキング法で室温の熱ドリフトを補正して、特定の原子上で再現性良くフォーススペクトロスコピーを行い、数十本以上の加算平均により、フォースカーブを精密測定する手法を開発した。 (4)高精度なフォースカーブは、NC-AFM元素識別像による原子種の相対識別よりも優れた元素識別法であり、多元素の混在比を変えなくても原子種を決定できることを見出した。 (5)交換型原子操作は、(Sn,Ge)系だけで起こる特異な現象でなく、(Sn,Si),(In,Si),(Sb,Si)のような「様々な2元素系」でも起こること、特に、SnやGeのようなIV族だけでなくIII族のInやV族のSbとの組み合わせでも起き、半導体では普遍的現象であることを明らかにした。 (6)交換型原子操作は、Sn/Ge(111)-c(2×8)再構成表面だけでなく、Sn/Si(111)-(【square root】3【square root】×3),In/Si(111)-(【square root】3【square root】×3),Sb/Si(111)7x7のような「様々な表面構造」でも起こることを明らかにした。
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