2006 Fiscal Year Annual Research Report
異種原子位置交換型水平原子操作の制御条件と機構の解明
Project/Area Number |
17101003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 清三 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (50091757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 真之 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00362666)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 水平原子操作 / 交換型原子操作 / フォーススペクトロスコピー / 原子識別 / 原子埋め込み文字 / 国際研究者交流 / スペイン |
Research Abstract |
1.単純な単元素半導体であるSi(111)-(7×7)で、Siアドアトムの空孔への水平原子操作の機構解明を行った。水平原子操作が起こる最小引力やポテンシャルは共有結合力や共有結合ポテンシャルの最大値よりも非常に小さいことを発見した。さらに、フォースカーブのシミュレーションで、水平原子操作の機構を理論的に解明した。 2.(Pb,Sn)/Si(111)-(√<3>×√<3>)モザイク相のような複雑な「3元素系」半導体では、NC-AFM元素識別像の凹凸差による原子種の区別は不可能であるが、個々の原子の精密なフォースカーブ測定による共有結合引力の最大値の比を用いれば、多元素の混在比を変えなくても原子種を識別できることを見出した。 3.Pb/Ge(111)-c(2×8)表面で混在する2元素を交換型原子操作により元素分離して、局所的にPbが凝集した部分が2×2構造に変わる事を見出した。この元素分離では、アニールとは逆にエントロピーを下げて構造を変えており、析出や局所応力歪や局所エントロピー効果の研究の基盤となる。 4.テコの探針先端原子と試料表面原子が交換する異種原子交換型「垂直」原子操作の存在をSn/Si(111)-(√<3>×√<3>)のSnとSi原子の混在系で実験的に証明した。AFM探針の90%は交換型垂直原子操作を起こさないが、残りの10%では交換型垂直原子操作を起こし、しかも、(1)SiとSn原子を交互に入れ替える探針、(2)Sn原子のみを連続的に試料表面に埋め込む探針、(3)Si原子のみを連続的に試料表面に埋め込む探針の3種類の探針が存在することを発見した。 5.Sn/Si(111)-(√<3>×√<3>)完全相表面にSi原子のみを連続的に埋め込む交換型垂直原子操作探針を利用して、特定のSi原子周辺のSn原子を順番にSi原子と置換して、中心のSi原子のフォースカーブの変化を測定することに成功した。
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