Research Abstract |
星間分子雲にはアモルファス氷星間塵が存在し,アモルファス氷中には,ホルホルムアルデヒド(H_2CO),メタノール(CH_3OH)などが含まれている.これらの分子は,より大きな有機分子に進化しうる重要な先駆体である.私たちは,これらの分子が,低温(〜10K)でのCO分子(固体)への水素原子逐次付加反応: CO→HCO→H_2CO→CH_3O→CH_3OH (1) で生成されたことを実験的に明らかにした.さらに,反応(1)の温度依存性,ならびに氷組成依存性(純粋なCO, H_2O-CO混合物)に関する実験を行った,その結果,アモルファスH_2O氷に触媒効果があることを見出した.そこで,本研究計画では,アモルファスH_2Oがある場合とない場合について,反応(1)の各ステップの反応速度定数を測定することにより,アモルファスH_2O氷の触媒効果を定量的に評価する.さらに,アモルファスH_2O氷の表面構造の解析,アモルファスH_2O氷表面への分子/原子の吸着状態の解析もあわせて行う. 初年度である平成17年度は,実験装置の立ち上げを中心に研究を進めた.超高真空容器(10^<-10>Torr)の金属基盤を冷凍機で8-20Kに冷却し,その表面に純粋なCOまたはH_2O-CO混合物の薄膜を作製する.それに低温(30-100K)の水素原子を照射する.水素原子を照射中の薄膜の組成変化をフーリエ変換型の赤外線分光計で測定する.この装置を用いて,種々の組成や異なる構造の氷でCO→HCO, H_2CO→CH_3Oの反応速度の温度依存性を測定した.
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