2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17104006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
香内 晃 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60161866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 直樹 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50271531)
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Keywords | アモルファス氷 / 星間塵 / 表面原子反応 / 触媒 / ホルムアルデヒド / メタノール |
Research Abstract |
分子雲に存在するアモルファス氷星間塵上における分子進化の研究は,太陽系の起源を研究する上でも極めて重要である.アモルファス氷星間塵は10K程度の極低温であるため,熱的な化学反応は極めて起こりにくく,そこでの分子進化プロセスには不明な点が多い.私たちは分子進化プロセスとして極低温特有のトンネル反応に着目し,(1)始原的有機分子であるホルムアルデヒド(H_2CO)やメタノール(CH_3OH)は極低温アモルファス氷表面におけるCO分子と水素原子のトンネル反応により効率よく生成されること,(2)アモルファス氷表面は触媒的な働きを持つことを明らかにした.本研究計画では,CO分子・水素原子トンネル表面反応における反応速度定数を測定することにより,アモルファスH_2O氷の触媒効果を定量的に評価する.2年目である平成18年度は,昨年度に立ち上げた実験装置を用いて以下の研究を行った. (i)純CH_3OH固体+D原子 vs. CH_3OH on アモルファス H_2O+D原子 10〜30Kの低温基板に作製した純CH_3OH固体およびアモルファス氷表面にCH_3OH分子を吸着させた試料にD原子を照射し,実効的な反応速度定数を求めた.その結果,アモルファス氷表面では純CH_3OH固体表面に比べ,反応性がより高温(30K)まで維持されていることが分かった.今回の実験結果は,吸着係数の減少(D原子の表面密度の減少)があってもなお反応速度を維持するという,これまでに例のない著しい触媒効果を表している.化学・物理的見地からだけでなく,分子雲における分子進化を考える上で極めて重要な発見である. (ii)CO on結晶氷+H vs. CO on アモルファス氷+H 15Kで作製したアモルファス氷および140Kで作製し15Kに冷却した結晶氷表面にCO分子を吸着させ,H原子を照射し,CO分子-H原子反応の実効的な反応速度定数を測定した.その結果,アモルファス氷表面の方が結晶氷に比べ反応速度が大きいことが分かった.
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Research Products
(6 results)