2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17105001
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
松本 吉泰 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 教授 (70181790)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 進 分子科学研究所, 計算分子科学研究系, 教授 (70194339)
高木 紀明 東京大学, 大学院・創成科学研究科, 助教授 (50252416)
渡邊 一也 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助手 (30300718)
松本 健俊 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助手 (20390643)
|
Keywords | 和周波発生 / 顕微鏡 / 超高速過程 / Pt(111) / 一酸化炭素 / 氷 / 振動緩和 / ホット電子 |
Research Abstract |
本年度は、主に以下の点について研究を実施した。 (1)和周波顕微鏡の試作 固体表面や界面における吸着種の空間分布を測定することを目的として、和周波顕微鏡の試作を行った。この装置の光源として、チタンサファイアレーザーを購入し、これを既存の再生増幅器と組み合わせて基本光源とした。再生増幅器はフェムト秒パルス発生仕様であったため、この内部を改造し、ピコ秒パルスを得た。これを、今年度購入したパラメトリック再生増幅器の励起光源とし、ピコ秒での波長可変赤外光を発生させた。これらの光源を元に、必要な光学部品を配置し、和周波顕微鏡を構成した。まず、大きさなどが校正されたパターンを可視光によりイメージングし、顕微鏡の調整、および、分解能の検討を行った。また、GaAsサンプルを用いて実際に和周波を発生させ、これによる像のイメージングを行った。その結果、分解能としては10〜20μmが得られた。これは、用いた赤外光が3μmであるのでまだ回折限界に至っておらず、改良の余地がある。来年度はこの点と像のコントラストの改善を目指し、実際にパターン形成を行ったシリコン表面上の自己組織化膜を試料として計測を行う。 (2)金属表面における電子・吸着種振動の結合と振動ダイナミックス COが吸着したPt(111)表面をフェムト秒可視光パルスで照射すると、基板にて生成された高温の電子がCOと相互作用し、表面平行方向の束縛振動を励起することがわかっている。そこで、飽和吸着させたCOの層の上にさらに氷の結晶を成長させ、この基板電子とCOの振動運動の結合様式がどのように変化するかを研究した。これには、フェムト秒の時間分解和周波発生を用いた。この結果、励起パルス光により、COの分子内伸縮振動に基づくSFGスペクトル線がシフトし、また、線幅が増加することを観測した。その時間変化から、水分子と直接相互作用するCOはそうでないものと比べてより強く基板のホット電子と結合することがわかった。これは、水分子との相互作用によりCO分子の2π*状態がエネルギー的に低下し、ホット電子との相互作用が増加したためと思われる。 この他にも、今後の表面反応の空間発展のシミュレーションを行うための準備として分子動力学シミュレーションによる研究も行った。
|
Research Products
(6 results)