2005 Fiscal Year Annual Research Report
メカノケミカル酸化動力学に基づく応力腐食割れの物理化学的機序の解明
Project/Area Number |
17106002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庄子 哲雄 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (80091700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 英生 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (90361112)
宮本 明 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50093076)
小川 和洋 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (50312616)
久保 百司 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (90241538)
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Keywords | 応力腐食割れ / 軽水炉発電プラント / 酸化特性評価 / 粒界 / 量子化学分子動力学 / 酸化則の応力依存性 |
Research Abstract |
耐応力腐食割れ進展特性に優れた材料を探索するため、量子化学分子動力学により、鉄基母材における置換元素の酸化に対する効果を検討した。四面体クラスター並びに八面体クラスターモデルを用いて、酸素を固溶した場合のエネルギー変化を密度汎関数法により求めた。さらに酸素の内部拡散について、同モデルを用いて解析されるエネルギー差に基づき評価した。それらスクリーニング結果を元に酸化エネルギーが低く、もしくは酸素拡散の活性化エネルギーが大きく、クラスターの結合エネルギーが大きい元素を抽出し、構造最適化計算を実施した。 割れの経路となる粒界を考慮すると、酸化しやすく、酸素が拡散しにくい点から、添加元素としてMn,Y,Zr,Ce,Hfが有効と考えられた。一部予備実験的にYの有効性について304Lステンレス鋼材料を試作し、円環状切欠きを有する丸棒試験片について特殊な定荷重試験冶具を用いてき裂発生試験を実施し予測との対応を検討した。その結果、Pの有害性を予測どおり確認し、またCr及びYの有効性について低CrにおけるYの有効性を見出した。さらに、これら酸化抑制効果を応力腐食割れき裂進展において検討するため、高温高圧水(288℃、8MPa、超純水)中でのき裂進展試験に着手した。 これらの予備的試験結果ならびに計算化学により得られた知見に基づき、Y、Zr、Ce、Wをそれぞれ添加したステンレス鋼を製造した。原子力プラント材料である316Lステンレス鋼(16.5%Cr-12.5%Ni-Fe)の組成を元に、熱処理過程の最適化などの実施により添加量を決定した。 さらに腐食作用に大きな影響を及ぼすインヒビターの作用原理について界面電気化学現象として量子化学分子動力学により解析し、その作用機序について検討した。その結果、実験的に得られているメチルホスホン酸エステルとメタンスルホン酸エステルの違いを電子移動の視点から説明できることを示した。
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