2006 Fiscal Year Annual Research Report
革新的金属ナノ中空球および金属ナノチューブの創製と機能性解明
Project/Area Number |
17106009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中嶋 英雄 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (30134042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 龍介 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (70396513)
玄 丞均 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教授 (50346178)
多根 正和 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (80379099)
鈴木 進補 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (10437345)
上野 俊吉 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助手 (60339801)
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Keywords | ナノ粒子 / 中空構造 / 酸化・還元 / ポーラス金属 |
Research Abstract |
前年度、金属ナノ粒子の酸化反応によって中空状酸化物が形成する現象を見出した。今年度は、数種の金属ナノ粒子の酸化過程をTEMによって観察し中空化機構を詳細に調べた。また、中空状酸化物粒子をTEM中の高真空下でアニールし、中空構造の安定性をその場観察した。 1.酸化反応を利用した金属ナノ粒子の中空化 Cu,Al,およびNiナノ粒子を室温〜400℃で酸化させ、酸化後の形態変化を観察した。いずれの金属ナノ粒子も酸化によって中空状酸化物に変化することがわかった。この現象は、金属/酸化物/酸素という反応系における原子移動に伴うものであると結論づけた。これらの金属の酸化過程では、内部の金属原子が表面酸化物を通じて外向きに移動する拡散が、酸化物表面から内部へ侵入していく酸素イオンの拡散よりも圧倒的に速い。その結果として過剰空孔が内部に流入し、酸化物粒子の内部の金属部に原子空孔の集合体としてのナノ孔が形成されたものと考えられる。Alは酸化しやすく、その酸化物は非常に安定であるため、粒径の小さい粒子は大気にさらすだけで瞬時に中空化されるが、粒径が大きい粒子は高温で長時間加熱しても酸化が進行せず中空化しない。Ni粒子の酸化過程ではボイドの偏在化が起こり、NiO粒子内部に形成される孔も粒子の中心よりずれた位置に偏在する特異な傾向が見られた。 2.中空状酸化物粒子の熱的安定性 Cuナノ粒子を酸化させて得られる中空状Cu_2O粒子をTEM中の高真空下(5×10^<-5>Pa)で加熱し、形態変化をその場観察した。中空粒子の粒径および酸化物殻の厚さに依らず、200℃付近でCu_2OからCuへの還元反応が起こった。還元反応の進行に伴い中空粒子が収縮する様子が観察された。還元反応が完了するとナノ孔は消滅し元の緻密なCu粒子へと戻ることが明らかとなった。 3.ナノ組織制御によるロータス型ポーラス金属の作製と特性評価 ガス原子を溶解させた溶融金属を一方向凝固させてロータス型ボーラス金属や金属間化合物の作製を行った。特に,凝固時の気孔の核生成および成長過程におけるナノ凝固組織の形成が,気孔の形態に決定的な影響を及ぼすことが明らかとなった。さらに,この材料の諸物性を解明した。
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