2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ現場遺伝子解析システムの実海域展開と機能の高度化
Project/Area Number |
17106012
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 輝夫 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30251474)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 貴富喜 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20322688)
福場 辰洋 東京大学, 生産技術研究所, 特任助手 (80401272)
|
Keywords | マイクロ流体デバイス / 現場分析装置 / 遺伝子解析 / 深海 / IISA-Gene / PCR / DNA精製 / IISA-ATP |
Research Abstract |
本年度は,前年度に製作した改良型のIISA-Geneについて,実際に現場で運用するための装置構成を検討し,製作した.その結果,加圧状況下における装置の安定性が向上した.またマイクロデバイスやチューブの交換や温度センサのキャリブレーションが容易になったことにより運用性が飛躍的に向上した. また,IISA-GeneのPCR部を用いて,メタン酸化細菌等の有する機能遺伝子(particulate methane monooxygcnase ; pMMO)の検出を試みた.その結果,卓上型のPCRサーマルサイクラと同程度の感度であることが明らかになった.また,PCRに要する時間は約20分と非常に高速・高感度な解析が可能であることが明らかになった. カオトロピック試薬及びガラスビーズを用いてDNA精製を行うための前処理デバイスについて,IISA-Gene用マイクロデバイスヘの集積化を行い、DNAの精製からPCRといった遺伝子解析に必要な一連の操作が可能であることを確認した. 無人探査機(ハイパードルフィン)による本システムの実海域展開については,平成18年7月に南西諸島・鳩間海域にて実施した(NT06-14).水深約1100mの熱水噴出孔付近において、pMMO遺伝子の検出を試みた.pMMO遺伝子に由来する明瞭な増幅シグナルは確認できなかったものの,装置安定性が向上した結果,一度の潜行調査の間に複数回の遺伝子解析操作を実施することができた. MBARIのScholin及びその共同研究者より,遺伝子解析用サンプルの提供を受け,彼らの標的生物の一つである赤潮原因藻のゲノムDNAから,それらに特異的なrRNA遺伝子を定量的に検出する実験系を確立した. 前年度に開発を開始したIISA-ATPに関しては現場海水の前処理からATPの定量までを単一のマイクロデバイスで行うことが可能であることを確認した.
|