2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ現場遺伝子解析システムの実海域展開と機能の高度化
Project/Area Number |
17106012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 輝夫 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (30251474)
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Keywords | マイクロ流体デバイス / 現場分析装置 / 遺伝子解析 / 深海 / IISA-Gene / PCR / DNA精製 / IISA-ATP |
Research Abstract |
平成21年度までに基本的な製作と評価を実施した前処理機能付きマイクロ現場遺伝子解析システム(IISA-Gene)について、さらにその安定性及び感度を向上するための改良を行った。具体的には、試薬導入法の改良や流体マニホルドの設計変更、及び装置全体の運用性向上に関わる改良を行った。また、平成22年9月から10月にかけて(NT09-17)及び平成22年3月(NT10-05)航海において、海洋調査船「なつしま」及び無人探査機「バイパードルフィン」による深海での計測実験をそれぞれ南西諸島沖、鹿児島湾内にて実施した。その結果、深海環境における動作を確認し、またPCR産物の回収にも初めて成功した。 また、遺伝子の検出だけでなく、定量分析を行うための機能要素について検討し、評価試験を実施した。その結果、高感度の光電子増倍管(PMT)を用いる事で、TaqMan PCR法に代表される定量PCR法を用いた微生物の遺伝子定量が可能であることを明らかにした。同時に遺伝子解析の信頼性を向上させるためにより純度の高いマイクロ流体デバイス材料の使用について評価・検討を行った。 微生物ATP定量分析装置(IISA-ATP)について、主に得られるデータの信頼性向上に向けた改良を行った。また、分析に用いる試薬の混合による沈殿物の発生とその対策法について検討した。 米国MBARIにて開発中のESPとIISAシリーズ装置については、その機能集積化に向けた具体的な検討・技術的な打ち合わせを行った。赤潮藻類遺伝子の検出については、それに必要となるプライマー配列などの情報提供を受け、評価試験を行った結果、IISA-Geneを用いて検出可能であることが明らかとなった。また、実際の集積化及び実海域運用についてスケジュール調整を試みたが、本年度中の実施が困難であった。そこで今後も協力体制を維持し、可能な限り早期に計画を実現することで合意した。 最後に、本年度が研究最終年度にあたるため、研究成果を報告書などの形でとりまとめているところである。
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