2005 Fiscal Year Annual Research Report
非病原力遺伝子のサプレッサー活性発現機構の解明と植物病害防除への応用
Project/Area Number |
17108001
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
露無 慎二 静岡大学, 農学部, 教授 (30090541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 滋康 静岡大学, 理学部, 教授 (90146233)
塩尻 信義 静岡大学, 理学部, 教授 (70162568)
瀧川 雄一 静岡大学, 農学部, 教授 (90163344)
村田 健臣 静岡大学, 農学部, 助教授 (30273171)
原 正和 静岡大学, 農学部, 教授 (10293614)
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Keywords | サプレッサー / 非病原力遺伝子 / ペクチンメチルエステラーゼ / CCoAMT / avrBs3 / pthファミリー / avrPto / avrRpt / avrB |
Research Abstract |
植物非病原細菌Pseudomonas fluorescens(Pf)にhrp遺伝子クラスターを持つ形質転換体をタバコ、イネ、カンキツに接種すると、hrp遺伝子クラスターの中にある一般エリシターであるハーピンやHopPsyAによってHRが誘導される。この細菌に多くの植物病原細菌Xanthomonas属が持つ非病原力(avirulent, avr)遺伝子avrBs3/pthAファミリーのクローンをさらに導入した形質転換体を同様に接種すると、今度はまったくHRを示す事ができなくなる。この時、オキシデーティブバースト、PAL、パーオキシダーゼ等の抵抗性反応関連の酵素活性の上昇、細胞死の誘導等の種々抵抗性反応や、HIN1,RbohB,PAL,PR1等の抵抗性反応関連遺伝子の転写誘導を抑える事もわかったので、この非病原力遺伝子グループは、抵抗性反応を抑制するサプレッサー活性を持つ事が立証された。次に、avrB,avrRps4,avrPto,avrRpt2についても、Pfの形質転換体を用いて、同様に調べた所、avrRpt2以外は、全て同様にサプレッサー活性を示した。従って、非病原力遺伝子の多くがサプレッサー活性を持つ事がわかった。興味深い事に、AvrBとAvrRpt2とも標的因子である第三の因子に作用して、それぞれリン酸化、プロセッシングの活性化反応によって、HRが誘導することが知られている。にもかかわらず、本システムでは、AvrBしかサプレッサー活性を示さなかった。このことは、これらの非病原力因子がサプレッサー活性を示すためには、別な標的が有る事が示唆された。また、上記avrBe3/pthA遺伝子ファミリーに属しながら、病徴発現(かいよう症状)に導くために必要であるapl1遺伝子産物と結合する分子として、宿主であるカンキツからPME(ペクチンメチルエステラーゼ)、カフェオイル-CoA-メチルトランスフェラーゼ(CCoAMT)と未知の細胞壁成分を単離した。今後、これらの分子との結合状態、夫々の分子の修飾、プロセッシングを調べる事によって、サプレッサー活性発現の機構がさらに明らかになると期待できる。
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Research Products
(5 results)