2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17108002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 泰夫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (90114363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 正治 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (30193262)
新井 博之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (70291052)
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Keywords | 還元的TCA回路 / 炭酸固定酵素 / ICDH / GS-GOGAT / 窒素同化 |
Research Abstract |
Hydrogenobacter thermophilus TK-6株の還元的TCA回路に関わる鍵酵素と酸化的TCA回路に働く同種酵素の構造的機能的相関と進化学的考察については、従来より、炭酸固定酵素(pyruvate-ferredoxin oxidoreductase (POR),2-oxoglutarate-feredoxin oxidoreductase (OGOR))、クエン酸の分解酵素(ATP-citrate lyase、 citryl-CoA synthase)等について、その反応機構の差異、還元芳方向へ働くための因子の存在などについて検討してきた。今回酸化還元反応を含むもうひとつの酵素反応isopcitrate dehydrogenase(ICDH)について、H.thermophilusからの精製、遺伝子取得を行い、酸化方向では従来知られていたICDHのみでisocitrateからoxalosuccinateを経て2-oxoglutarateが精製するのに対し(oxalosuccinateから2-oxoglutarateまでは非酵素的)、還元方向に働く場合には、2-oxoglutarateからoxalosuccinateへの反応は非酵素的には起こりえず、新規のビオチン含有酵素によって触媒されていることを証明した。さらにほぼ同様の反応がピルピン酸の炭酸固定反応であるPyruvate carboxylase反応(PVC)でも起こっていると考えられた。これらの知見により、還元的TCA回路が働くために必要な4箇所の炭酸固定反応POR, OGOR, ICDH, PVC全てについて、H.thermophilusにおいて還元方向(炭酸固定方向)に働くためには、酸化的TCA回路には必要ない新たなコンポーネントが必要であることが明らかになった。しかし、京大グループが発表している緑色硫黄細菌の還元的TCA回路においては必ずしも同様なメカニズムにはなっておらず、TCA回路近辺の進化的考察にはさらに検討が必要である。 H.thermophilusはGS-G0GAT系で窒素同化作用を行なっているが、本菌のGS-GOGAT系は、(1)還元力にNAD(P)Hでなくferredoxinを用いる、(2)糖質でなく有機酸の存在によって活性が制御されている、の2点で通常のバクテリア型のGS-GOGATとは異なっていた。この2つの性質は、本菌が還元的TCA回路で炭酸固定を行い水素をエネルギー源とする絶対独立栄養型生物であることを考えると、その合理性が良く理解される。
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Research Products
(4 results)