2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17108004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
深水 昭吉 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 教授 (60199172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 啓司 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 助教授 (90261776)
加香 孝一郎 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 講師 (60311594)
石田 純治 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 講師 (30323257)
大徳 浩照 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 講師 (30361314)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 妊娠中毒症 / 少子高齢化 / レニン-アンジオテンシン系 / 胎児発育遅延 / 胎盤 / 出産 / 母胎間ネットワーク |
Research Abstract |
妊娠、出産の分子メカニズムの解明と妊娠時疾患の原因解明が必須であるが、正常妊娠自体についてさえその分子基盤と妊娠という現象との因果関係はほとんど解明されておらず、異常(疾患:妊娠中毒症)状態に至っては解析が十分に行われていないのが現状である。そこで初年度では、当研究室で開発し、100%の個体において妊娠高血圧を発症するマウスを用いて、平成18年度は、以下の観点で解析した。 (1)妊娠中毒症の発症メカニズムと母胎間ネットワークの解明 ・妊娠中毒症の標的となる主要臓器の一つである腎臓に着目して病理解析を行い、妊娠時高血圧の物理的な組織傷害とアポトーシスの関係を検討する予備的実験を行った。 ・母体と胎児との機能的相互作用の要である胎盤の病理解析を行い、胎盤組織の脈管構造の異常を発見し、さらに虚血による低酸素など機能障害を引き起こす原因となる赤血球の異常形成を見出した。 (2)子宮内胎児発育遅延(IUGR)の病態解析とその発症原因の特定 ・妊娠高血圧マウスにアンジオテンシン受容体拮抗薬を投与し、産児の出生時低体重、蘇生率低下、新生児高死亡率について検討した。その結果、低体重および蘇生率の改善、新生児死亡率の有意な低下が認められた。薬理学的解析からも、妊娠高血圧の発症にアンジオテンシン受容体が深く関与していることが示唆された。 ・胎盤機能にどのような障害をもたらしているのかを評価するためIUGR産児に関して生理・生化学的解析を行い、病態の把握と死亡原因の探索を試みた。本年度は、正常妊娠と高血圧妊娠の13日目のマウス胎盤RNAを抽出し、DNAアレイ解析を行った。 (3)新規の心血管機能制御系であるAPJ受容体の、妊娠時疾患への関与とその分子メカニズムの解明 ・妊娠高血圧マウスのか尿タンパクを妊娠から出産までの血圧を時間軸に沿って測定した結果、妊娠の進展に伴って増加することが判明した。今後、妊娠高血圧マウスからAPJ受容体をさらに欠損させたマウス(妊娠高血圧/APJ-KOマウス)のタンパク尿を採取し、同様に測定していく予定である。
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