2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17108004
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
深水 昭吉 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (60199172)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加香 孝一郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (60311594)
大徳 浩照 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (30361314)
石田 純治 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 研究員 (30323257)
|
Keywords | 妊娠高血圧 / 胎児発育遅延 / レニンーアンジオテンシン系 / 母胎 / 母体 / アポトーシス / 胎盤 / マイクロアレー |
Research Abstract |
少子化・高齢化が進行する中、妊娠・出産の健全化を図るためにも、妊娠時疾患の原因解明が必須である。しかし、妊娠中毒症発症のメカニズムは、不明な点が多い。妊娠中毒症や子宮内胎児発育遅延(IUGR)などの妊娠時疾患において、母胎間ネットワークについての解明を行い、妊娠中毒症に対しては胎児発育への悪影響を考慮し、薬剤的治療も含め有効な方法の可能性を探る。そこで我々は、当研究室で開発した妊娠中毒症モデルマウスを最大限活用し、平成19年度は、以下のことを明らかにした。 (1)妊娠中毒症の発症メカニズムと母胎間ネットワークの解明 ・妊娠中毒症の標的となる腎臓の糸球体障害に着目して詳細な病理解析を行ったが、光顕レベルでは大きな差異は実証できなかった。 ・母体と胎児との機能的相互作用の要である胎盤の脈管構造は脆弱化しており、アポトーシスも促進し、著しい幼若赤血球の蓄積などが観察された。 ・病態が顕著な胎生19日目、病態が進行していることが判明した胎生16日目、および発症前13日目の胎盤のRNAを用いマイクロアレイ解析の結果、エネルギー代謝系、免疫系、シグナル系の遺伝子群が総じて抑制化されており、病態との関連が示唆された。 (2)子宮内胎児発育遅延(IUGR)の病態解析とその発症原因の特定 ・恒常性維持を担う主要臓器である脳、腎臓、肺は貧血症状を示し小さくなっていたが、心臓は肥大を呈していた。 ・IUGR産児の心電図測定からは右脚ブロックガ、新生児血液では高濃度のangIIの蓄積が観察された。 (3)新規の心血管機能制御系であるAPJ受容体の妊娠時疾患への関与とその分子メカニズムの解明 ・マウスの交配実験によって妊娠高血圧マウスからAPJ受容体をさらに欠損させたマウス(妊娠高血圧/APJ-KOマウス)の系統を確立した。特に腎機能に着目して病態変化を解析した結果、著しいタンパク尿の増加が観察された。
|