2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17108004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
深水 昭吉 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (60199172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加香 孝一郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (60311594)
大徳 浩照 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (30361314)
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Keywords | 妊娠高血圧 / 胎児発育遅延 / レニンーアンジオテンシン系 / 母胎 / 母体 / アポトーシス / 胎盤 / マイクロアレー |
Research Abstract |
妊娠時の恒常性維持とその破綻によって生じる妊娠中毒症病態の発症メカニズムを明らかにするために、母体および胎児の妊娠時恒常性に重要な母胎間ネットワークに焦点を当て、当研究室で開発した妊娠中毒症モデルマウスを最大限活用し、平成20年度は、以下のことを明らかにした。 (1)妊娠中毒症の発症メカニズムと母胎問ネットワークの解明・「母胎間ネットワーク」の要である胎盤に着目し、妊娠13日目、16日目、19日目のマウス胎盤RNAを用いたマイクロアレイ解析を行った。正常妊娠の胎盤においては、血管構築関連遺伝子群や代謝関連遺伝子群の発現上昇が認められたが、妊娠高血圧マウスで抑制されていることが判明し、胎盤の機能破綻と胎仔病態を含む妊娠中毒症との関連が示唆された。・病態の責任候補因子の発現ベクターを用いたレスキュー実験のため、マウスの胎児・胎盤系への一過性遺伝子発現システムとして「HVJ-E法」を確立した。 (2)子宮内胎児発育遅延(IUGR)の病態解析とその発症原因の特定・妊娠高血圧マウスに対して病態が認められる妊娠後期に限定したAT1阻害剤の投与を行ったところ、母体の高血圧や組織傷害の大幅な軽減に加え、新生仔のIUGRや周産期死亡が回避されることが判明した。妊娠高血圧マウスで認められた胎盤構造の脆弱化も大幅に改善しており、胎盤機能がIUGR病態の発症に深く関与する可能性が示された。 (3)新規の心血管機能制御系であるAPJ受容体の、妊娠時疾患への関与とその分子メカニズムの解明・マウスの交配実験により「APJ受容体を欠損させた妊娠高血圧マウス系統」を作製し、妊娠高血圧マウスで認められる著しい尿タンパクに着目して経時的な解析を行ったところ、妊娠中期以降に妊娠高血圧マウスよりさらに増加することが判明し、APJ受容体は妊娠中毒症時の腎機能障害に対する抑制作用を有することが示唆された。
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Research Products
(14 results)