2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17108004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
深水 昭吉 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (60199172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加香 孝一郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (60311594)
大徳 浩照 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (30361314)
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Keywords | 妊娠高血圧 / 胎児発育遅延 / レニン-アンジオテンシン系 / 母体 / 摘出血管 / 血管収縮 / 血管弛緩 / 胎盤 |
Research Abstract |
妊娠時の恒常性維持とその破綻によって生じる妊娠中毒症病態の発症メカニズムを明らかにするために、母体および胎児の妊娠時恒常性に重要な母胎間ネットワークに焦点を当て、当研究室で開発した妊娠中毒症モデル(PAH)マウスを最大限活用し、平成21年度は、以下のことを明らかにした。 (1)妊娠中毒症の発症メカニズムと母胎間ネットワークの解明 ・「母胎間ネットワーク」の破綻の危険因子である高血圧を抑制することが重要と考え、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)と臨床薬として使用されているヒドララジンをPAHマウスに投与し、降圧効果の比較検討を行った。その結果、両者とも同様の降圧効果を示したが、溶血、肝傷害や血小板数の血中パラメーターに対しての改善効果は相違性を示すことが明らかとなった。 ・正常妊娠とPAHマウスの摘出血管を使い、マグヌス法を用いて血管弛緩作用に対する感受性を検討した。その結果、降圧剤に対して、PAHマウスの摘出血管は約7倍程度の感受性の低下が認められた。 (2)子宮内胎児発育遅延(IUGR)の病態解析とその発症原因の特定 ・妊娠高血圧マウスの妊娠後期に限定したARBがIUGRや周産期死亡の大幅な改善が認められたので、臨床薬に使用されているヒドララジンの作用を検討した。その結果、ヒドララジンはIUGRを回避できず、未投与群と同等の結果を示すことが明らかになった。 (3)新規の心血管機能制御系であるAPJ受容体の、妊娠時疾患への関与とその分子メカニズムの解明 ・APJ受容体を心臓特的に発現するトランスジェニックマウスを作製し、心臓機能への役割を検討した。その結果、本♀マウスは妊娠回数に比例して、拡張型心肥大が発症するという、全く新しいモデル動物となり得ることが判明した。今後、高血圧との関わりや、胎児の発育等について、詳細に解析していく予定である。
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