2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17109003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 正光 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50133939)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 脳・神経 / 薬理学 / 生理学 |
Research Abstract |
Ca^<2+>シグナルと関連シグナル伝達系について、シグナル分子可視化法と新たに開発するCa^<2+>シグナル抑制法を有機的に結合して、時空間的な枠組みの中でシグナル伝達を明らかにすることを目的とし、本年度は以下の成果を得た。 1)シナプス強度のCa^<2+>およびBDNF依存性維持機構:特異的IP_3加水分解酵素発現によりIP_3シグナルを小脳プルキンエ細胞において抑制してシナプス機構への効果を見たところ、平行線維終末からのグルタミン酸放出低下によるシナプス伝達効率の低下が観測された。逆行性のシグナル伝達機構の存在が示唆されたので解析を進めた結果、脳由来神経栄養因子(BDNF)の関与が明らかになった。この結果は、シナプスを使い続けることがシナプス伝達効率を維持することに必要であることを示し、メカニズムとして、IP_3→Ca^<2+>→BDNFというシグナル伝達が明らかになった。 2)Ca^<2+>オシレーション形成機構の解明:小胞体内腔およびミトコンドリア内腔のCa^<2+>濃度を測定できるタンパク質性Ca^<2+>インジケーターを作製し、細胞内小器官内腔Ca^<2+>濃度変化と細胞質Ca^<2+>濃度変化の比較に成功した。その結果、小胞体から放出されたCa^<2+>は一旦ミトコンドリアに移動し、その後ミトコンドリアから徐々に放出されるCa^<2+>によって次のCa^<2+>放出の引き金が引かれることが明らかになった。 3)細胞間接触情報を伝えるCa^<2+>シグナルの解明:細胞間の接触部位に見られる新規Ca^<2+>シグナルであるCa^<2+>lightning (Ca^<2+>雷光)を発見した。さらに、このCa^<2+>雷光は、PYK2を活性化して細胞の葉状仮足の退縮を誘導することも明らかにした。従って、Ca^<2+>雷光は、細胞間の接触を検知して細胞内へ伝達するメカニズムの一つであると考えられる。
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Research Products
(6 results)