2008 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックな異常による消化器癌発生の分子機構と診断・治療への応用
Project/Area Number |
17109008
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
今井 浩三 Sapporo Medical University, 学長 (60117603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠村 恭久 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90162619)
豊田 実 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70270676)
山本 博幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40332910)
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20381254)
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Keywords | DNAメチル化 / ヒストン修飾 / エピジェネティクス / 遺伝子診断 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
本研究では、大腸癌および胃癌におけるDNAメチル化異常の網羅的解析により、消化器癌の発生と進展におけるエピジェネティックな異常の役割を明らかにすることを目的とする。本年度は、以下の項目について検討を行った。(1)大腸癌のシグナル経路異常におけるDNAメチル化の役割の解析:大腸癌の一部は、ゲノムワイドなメチル化の異常、CpGisland methylator phenotype (CIMP)を示す。われわれは、大腸癌におけるBRAFの負の制御遺伝子IGFBP7のメチル化を検討したところ、CIMP-high群に高頻度にIGFBP7遺伝子の異常メチル化を認めることを明らかにした。BRAF変異を起こした細胞がCIMPを獲得することでsenescenceを免れて癌化している可能性が考えられた。また、IGFBP7はp53の標的遺伝子であり、CIMP陽性腫瘍において、p53の変異が少ない原因の一つに、p53標的遺伝子がDNAメチル化により不活化されることが原因であることを明らかにした。(2)癌抑制遺伝子の不活化におけるRNA干渉の役割の解析:RNA干渉がDNAメチル化に果たす役割を検討する目的で、Dicerを遺伝学的にノックアウトした大腸癌細胞を用いて、Histone H3K27のメチル化を網羅的に解析した。Dicer機能の異常により、一部の遺伝子でH3K27のメチル化レベルが低下しており、Dicerが癌におけるエピジェネティック異常に関与する可能性が示唆された。(3)DNAメチル化を指標とした癌の悪性度診断および発癌リスク予測:mir-34bcの異常メチル化が胃癌の多発癌症例、大腸癌の浸潤癌においてメチル化レベルが値を示すことを明らかにした。遺伝子メチル化を利用した癌の再発予測、悪性度診断への応用が可能になることが示唆された。
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Research Products
(20 results)