2008 Fiscal Year Annual Research Report
造血システムにおける腫瘍性幹細胞およびその悪性化に関与する遺伝子の同定
Project/Area Number |
17109010
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
赤司 浩一 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (80380385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊嶋 崇徳 九州大学, 大学病院, 准教授 (40284096)
宮本 敏浩 九州大学, 大学病院, 講師 (70343324)
田中 真二 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30253420)
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Keywords | 白血病性幹細胞 / 急性骨髄性白血病 / 慢性リンパ球性白血病 / MCL-1 |
Research Abstract |
我々は、造血器腫瘍の中で急性骨髄性白血病(AML)と慢性リンパ性白血病(CLL)の白血病幹細胞の純化と白血化に関わる遺伝子の同定を試みている。正常造血幹細胞の生存強化に抗アポトーシス蛋白Mcl-1が特異的に重要なことを見いだし、白血病幹細胞における意義について検討している。AML検体では、造血幹細胞およびCD34^+CD38^+AML芽球と比較して、CD34^+CD38^-AML幹細胞において有意にMcl-1の高発現を認めた。またMcl-1の発現制御はFLT3シグナルを介して調節されるが、AMLの予後不良因子としてFLT3のinternal tandem duplication(ITD)異常が報告され、FLT3/ITD変異により恒常的にFLT3シグナルが活性化されることがAMLの発症原因と考えられている。FLT3/ITD変異AML幹細胞分画ではMcl-1は著しく高発現していること、純化した正常造血幹細胞にFLT3/ITDを遺伝子導入するとMcl-1の高発現が誘導されること、Mcl-1を強発現させたFLT3/ITD変異細胞株にFLT3シグナル阻害剤を添加してもアポトーシスを回避することを確認した。従って、FLT3/ITD変異による恒常的FLT3シグナルがMcl-1の高発現を誘導し、白血病幹細胞の生存維持を強化して白血病発症に関与することが示され、Mcl-1を標的とした白血病治療の可能性を示している。CLL幹細胞の解析では、CLL骨髄細胞のCD34^+CD10^+CD19^+B前駆細胞は、CLL芽球と同一のIgH再構成パターンを示すが、NOG新生仔マウスへ移植してもCLL発症は認めなかった。一方、CLL患者の造血幹細胞分画では、移植されたマウスはCLL様病態を呈し、死亡した。 CLL幹細胞は造血幹細胞レベルに存在する可能性を想定し、継続してCLL幹細胞候補を探索している。
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Research Products
(16 results)