2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17200027
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 恵 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (10140641)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片渕 俊彦 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (80177401)
古江 秀昌 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (20304884)
|
Keywords | GABA / 同期性発火 / in vivoパッチクランプ記録 / 痛覚 / EPSC / 体性感覚野 / bursting / 脳波 |
Research Abstract |
ラット第一次体性感覚野から記録を行ったほとんど全ての錐体細胞でburstingが観察された。その頻度は0.2〜4Hzであった。このburstingはCNQXで抑制されること、その頻度は膜電位に非依存性であることから外部からの同期したグルタミン酸入力によるものと判断された。このburstingと共にEEGの同時記録を行い相関関係を検討した。その結果、同側のみならず反対側から記録したEEGと非常に強い相関を示した。また、興奮性のburstingに続いて抑制性のburstingが殆ど全ての細胞で観察された。この抑制性burstingは常に興奮性のそれに対して数10msの遅れを示し、その立ち上がりは興奮性のそれと比較して速かった。以前の観察からburstingは視床からの同期した入力によって惹起されている可能性が高い。かつ、その同期にはGABAergicな細胞の関与が考えられた。今回の実験から興奮性のみならず抑制性のburstingも同期して錐体細胞に入力しており、その起源として視床または皮質内回路の関与が示唆された。また、EEGとの関連から観察されたシナプス応答はEEGの起源となっている可能性が高く、かつ、麻酔下では反対側の感覚野、さらに運動野でも同様の同期がみられたことから、興奮性、抑制性共に視床が密接に関与していることが示唆された。次に反対側後肢刺激によるシナプス応答の解析を行った。皮膚の非侵害性刺激、例えば触刺激にはブラシまたはガラスピペットから空気を吹き付けて行い、機械的痛み刺激は鈎付きのペンセットを用いて行った。記録した多くの細胞では、触および痛み刺激によってburstingに重畳してEPSCの頻度が増加した。しかし、それぞれの刺激によって誘起される応答の頻度、振幅には著明な相違は見られなかった。今後、burstingを抑制することが知られているbarbiturate系またはbenzodiazepine系の麻酔薬を用いて記録を行い、大脳皮質における痛覚情報伝達処理機序を明らかにしていく。
|