2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17200027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 恵 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (10140641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片渕 俊彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (80177401)
古江 秀昌 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (20304884)
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Keywords | 大脳皮質 / 体性感覚野 / EPSC / 同期化 / bursting / GABA / 脳波 / in vivo パッチクランプ |
Research Abstract |
痛覚情報は末梢から脊髄後角に入力し、修飾、統合を受けた後、視床を介して第一次体性感覚野に投射される。今までの研究から大脳皮質を欠損していても痛みを感じることが出来ることから視床のレベルで処理されていると考えられてきたが、PETやfMRIなどのイメージング技術の発達によってSIやSIIも痛み情報の処理に関与していることが明らかにされている。そこで、in vivoラット標本を用い、SIからパッチクランプ記録を行い末梢皮膚刺激によって誘起された応答がどのような処理を受けるかを解析した。記録を行った殆どの細胞でEPSCの重畳によるburstingが観察され、その頻度はEEGの頻度と一致した。このburstingはCNQXで抑制されること、視床にGABA_A受容体作動薬を投与することによって可逆的に抑制されることから、視床におけるGABAニューロンの発火が視床-大脳皮質投射ニューロンの同期化をコントロニルしていることが示唆された。皮膚に非侵害性の触刺激を加えるとburstingに重畳してEPSCの群発が観察された。機械的痛み刺激を加えた時にも同様にEPSCの重畳が見られた。しかしながらそれらのEPSCの振幅は活動電位を発生するには十分ではなかった。また、その頻度も低かった。脊髄後角細胞からのパッチクランプ記録では十分な振幅のEPSCが観察され、current clamp条件下では活動電位を惹起した。これらの事から、痛覚情報は脊髄から視床、大脳皮質と伝達されるにつれ、より要素的なものに変換され大脳皮質に伝えられている可能性が考えられた。また、麻酔薬の濃度を下げるとその頻度および振幅が増大することから麻酔薬による抑制作用も否定できず、今後無麻酔条件下での解析が必要と考えられる。
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