2007 Fiscal Year Annual Research Report
優性遺伝病発症モデルマウスを用いた遺伝要因と環境要因の解析
Project/Area Number |
17200028
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山村 研一 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 教授 (90115197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 穣 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教 (40363527)
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Keywords | トランスサイレチン / アミロイドポリニューロパチー / 相同組換え / ES細胞 / ヒト化マウス / ノックアヴトマウス |
Research Abstract |
マウストランスサイレチン(mTtr)遺伝子を完全破壊する一方、その部分にヒトTtr遺伝子を置換し、ヒトのTtrのみが発現するマウスの作製に成功した。具体的には、mTtr遺伝子完全破壊マウス(-/-)、野生型ヒト TTR cDNAを持つマウス(Va130)、また、ヒト患者でよく見られる30番目のVa1がMetで置換した遺伝子(Met30)を樹立し、交配により、(-/-)、(+/Va130)、(Va130/Va130)、(Va130/Met30)、(Met30/Met30)の遺伝子型のマウスを樹立し解析に用いた。 (-/-)マウスでは、mTtr遺伝子のmRNAも血清のmTTRも検出されない。(+/Va130)と(Va130/Va130)における発現、を比較したところ、肝臓でのVa130mRNAおよびVa130タンパクの発現は、Va130の遺伝子量に比例していたが、血清中のVal30を測定したところ、(Va130/Va130)のほうが、低いことが分かった。この原因を追究したところ、分泌が悪いのではなく、Va130の4量体の安定性が悪いためであることが分かった。その原因として、マウスレチノール結合タンパクとの結合が悪いためであることを明らかにした。さらに、Met30/Met30マウスでは、4量体の安定性はVa130/Va130と比較して悪いが、2量体はより安定であることが分かった。 一方、hVa130マウスにおける発現量が低いことから、発現を高めることを企図して、PGK-neoを削除する、hVa130cDNAの前にIRES配列を挿入する、またはその両方を行うことを計画し、これらのマウスも樹立した。解析したところ、いずれの改変も肝臓におけるmRNAの発現レベルが低下することを見出した。このことは、従来の報告とは異なり、PGK-neoがかえって転写を促進したり、IRES配列が効果的でない場合のあることを示唆している。
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