2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋における粒子態有機物の大規模な溶存化現象の微生物・地球化学的な支配機構
Project/Area Number |
17201004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 俊 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40183892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (70124815)
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50260518)
浜崎 恒二 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 講師 (80277871)
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Keywords | 海洋 / 粒子状有機物 / 溶存有機物 / 微生物ループ / 物質循環 / 微生物群集構造 / 細胞外加水分解酵素 / 有機物分解 |
Research Abstract |
本研究では太平洋における広域観測と沿岸メソコスムを用いた野外実験から、海洋における粒子状有機物の大規模な溶存化現象の支配機構を明らかにすることを目的としている。今年度得られた成果は以下のとおりである。1)5月に大槌湾で野外実験を実施し、珪藻ブルームの生成・消長にともなう細菌群集の変動の解析を行った。同時に昨年度と一昨年度に実施されたメソコスム実験で得られた試料の解析を進めることで、新たな知見を集積した。その結果、珪藻ブルームの崩壊期に粒子表面に多量の糸状菌・連鎖菌が現れる現象が見いだされた。蛍光現場交雑法による解析の結果その大部分がサイトファガ・フラボバクテリウムクラスターに属する細菌であることが示された。付着性細菌と浮遊性細菌では群集組成が明らかに異なったことから、粒子表面には固有の細菌群集が発達し、粒子状有機物の溶存化を駆動していることが示唆された。2)8月8日から9月21日にかけて実施された学術研究船白鳳丸KH05-2次航海に乗船し、中部太平洋南緯10度から北緯57度にかけての広域南北断面観測を行った。表層から深層にかけて層別採水された試料についてロイシン取り込み速度を測定し、細菌生産活性の地理変異を調べた。その結果、中層においては亜寒帯域で高く亜熱帯域で低いという明瞭な緯度傾向が見られたが、深層においては中緯度海域で最大になるという変則的なパターンが見いだされた。この結果は、中層においては、沈降粒子の溶存化により生成された溶存有機物に依存した細菌生産が卓越しているが、深層では、それ以外の炭素源が細菌生産に影響を及ぼしている可能性を示唆している。以上の結果をAGU海洋科学会議その他の学会で公表した。
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