2006 Fiscal Year Annual Research Report
海洋における粒子態有機物の大規模な溶存化現象の微生物・地球化学的な支配機構
Project/Area Number |
17201004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 俊 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40183892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (70124815)
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50260518)
浜崎 恒二 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80277871)
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Keywords | 海洋 / 粒子状有機物 / 溶存有機物 / 微生物ループ / 物質循環 / 微生物群集構造 / 細胞外加水分解酵素 / 有機物分解 |
Research Abstract |
初年度に実施された学術調査船白鳳丸の中部太平洋南北断面観測航海などで採取された微生物サンプルの解析を継続的に進めるとともに、中深層におけるロイシン取り込み速度の鉛直的・水平的な分布パターンの解析を進めた。その結果、中層の細菌生産(ロイシン取り込み速度から推定)が高緯度海域と赤道海域に極大を示すことが明らかになった。これは、従来の研究により明らかにされている、表層の一次生産および沈降粒子束の南北分布パターンと良く一致している。このことは、海洋の中層においては、沈降粒子→溶存有機物→浮遊性細菌という経路を経て有機物の分解・無機化が進行するという本研究の仮説を裏付けるものである。一方、水深1、000m超の大深度においては、複雑な南北分布パターンが見られた。興味深いのは、南北太平洋において、中緯度において細菌生産のピークが見られた点である。沈降粒子束が最も低い海域において細菌生産が高かったということは、堆積物の巻き上げや移流による有機物の供給が、深層における有機物分布パターンに影響を及ぼしていた可能性を示唆する。これらの研究成果については2006年8月にウィーンで開催された国際微生物生態学会の招待講演とポスター発表において公表した。2006年5月には岩手県の大槌湾において付着性細菌と浮遊性細菌の分布と活性に関する観測・実験的な研究を行った。その結果、付着性と浮遊性の画分において細胞外加水分解酵素活性の特性が大きく異なるという新たな知見をえた。また、有機物の溶存化に影響を及ぼすウィルスの動態の支配機構に関する研究も進めた。さらに、海洋における細菌群集の空間分布の不均一性が、有機炭素の鉛直輸送に与える影響に関する数理モデルを用いた研究を進め、その成果を論文として投稿した。
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Research Products
(3 results)