2007 Fiscal Year Annual Research Report
海洋における粒子態有機物の大規模な溶存化現象の微生物・地球化学的な支配機構
Project/Area Number |
17201004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 俊 Kyoto University, 生態学研究センター, 教授 (40183892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 則男 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (70124815)
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (50260518)
浜崎 恒二 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (80277871)
小池 勲夫 琉球大学, 監事 (30107453)
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Keywords | 海洋 / 粒子状有機物 / 溶存有機物 / 微生物ループ / 物質循環 / 微生物群集構造 / 細胞外加水分解酵素 / 有機物分解 |
Research Abstract |
学術調査船白鳳丸の中部太平洋南北断面観測航海で採取された微生物サンプルの解析を継続的に進めるとともに、中深層におけるロイシン取り込み速度の鉛直的・水平的な分布パターンの解析を進めた。その結果、中層の細菌生産が高緯度海域と赤道海域に顕著な極大を示すことが明らかになったが、本年度はこのデータを用いた定量的な解析を進めた。また、細菌の消滅要因としてのウィルスの広域分布に関しても解析を進めた。その結果、海洋の中層においては、沈降粒子→溶存有機物→浮遊性細菌という経路を経て有機物の分解・無機化が進行するという本研究の仮説が、炭素フラックスの観点からみても矛盾なく説明できることが示された。しかし、水深1、000m超の大深度においてみられた、複雑な南北分布パターンに関しては、細菌が消費する炭素のフラックスが、通常のモデルから推定される沈降粒子束を上回ることから、堆積物の巻き上げや移流による有機物の供給が、深層における有機物分布パターンに影響を及ぼしていた可能性が示唆された。また、ウィルスの分布については、中層においては、おおむね、細菌生産の分布と一致しており、細菌の生産とウィルスによる溶菌が共役していることが示唆された。一方、深層においては、南半球におけるウィルス量が、北半球より高いという興味深いパターンを示したことから、深層におけるウィルスの分布には、宿主の分布以外の要因(南極深層水の沈みこみによる輸送など)が関わっている可能性がうかがわれた。以上の成果は、これまで知見の少ない、海洋中・深層における微生物ループ過程と有機物の変質に関する理解を深化させるものである。また、大槌湾におけるメソコスム実験の結果の解析を進め、付着性と浮遊性の画分において細胞外加水分解酵素活性の特性の違いを明らかにした。また、有機炭素の鉛直輸送に与える影響に関する数理モデルを用いた研究を進めた。以上の成果を総説や原著論文としてまとめた。
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