2007 Fiscal Year Annual Research Report
ラドンを用いた複雑地形を含む安定大気境界層中の物質輸送の研究
Project/Area Number |
17201009
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
近藤 裕昭 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 環境管理技術研究部門, 研究グループ長 (60357051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 昌平 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (30222433)
三枝 信子 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00251017)
飯塚 悟 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究員 (40356407)
石島 健太郎 地球環境フロンティア研究センター, 大気組成変動予測研究プログラム, 研究員 (90399494)
松枝 秀和 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 室長 (60354552)
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Keywords | ラドン / 土壌中の拡散係数 / CO2フラックス / 複雑地形 / 安定成層 / 数値解析 / RANS / LES |
Research Abstract |
平成19年度は、昨年度までに開発したラドン計を産総研高山サイトに設置し、7月中旬〜12月初旬に大気中ラドン濃度の観測を行った。観測を行うために、長期無人観測に適した試料前処理部やデータ通信部を含む測定システムを製作した。ラドン計の感度、静電捕集容器の容積・ガス交換性、試料空気の流量・除湿効率等を検討した結果、1台のラドン計で一定時間毎に流路を切り替えて、複数高度・地点で測定を行った場合、必要とされる測定精度や時間分解能が十分に得られないことが分かったため、2台のラドン計を用いて、尾根の地表付近および林冠上の2高度、あるいは、尾根と稜線上2地点の地表付近について、それぞれ期間を変えて連続測定を行うことにした。前年度の気象研での観測では、CO_2濃度の変動と類似した日周変動が見られたが、高山サイトにおいては、CO_2については日中低濃度、夜間高濃度の顕著な日周変動が見られるものの、ラドンについては複雑な変動を示すことがあり、必ずしもCO_2の変動と対応していなかった。風向が斜面上昇流時に尾根で高濃度、下降流時に稜線上で高濃度になる傾向も見られたが、必ずしも当てはまらないこともあった。これらは、高山サイトの複雑地形を反映した現象と推察されるが、今後さらにデータを蓄積し数値シミュレーションによる解析が必要であることが示唆された。 RANSによる数値シミュレーションを端のある夜間の平面上の植生キャノピーを対象として実施した。従来の知見とは異なり、キャノピー内に構造の異なる2つの領域がミ生成された。このような構造を持つキャノピー上で、実際の観測を模して物質の輸送量を調べた。当初の予想とは異なり、水平方向には物質の多くは移流ではなく、乱流で輸送されていることが示唆された。この知見をもとに、最終年度はデータの再解析を行うことを予定している。
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