2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラドンを用いた複雑地形を含む安定大気境界層中の物質輸送の研究
Project/Area Number |
17201009
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
近藤 裕昭 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 環境管理技術研究部門, 主幹研究員 (60357051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 昌平 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (30222433)
飯塚 悟 国立大学法人名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (40356407)
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Keywords | ラドン / CO2フラックス / 複雑地形 / 数値解析 / 夜間移流 / タワー観測 / フラックス補正法 |
Research Abstract |
(1)過去に複雑地形である産総研高山サイト(TKY)で計測したフラックスデータについてCO2およびエネルギーフラックスの3方向成分を再計算した。平均風速に対し直交する成分のフラックスと比較し、3成分の絶対値を代表フラックスとすると、エネルギーバランスでは純放射に対する他の項の和の比率は60%程度から90%程度に改善されたが、ばらつきが大きくなった。同様に昼間のCO2フラックスの森林生態系による吸収量も大きくなった。今後の検証が必要である。 (2)稜線上のタワーと斜面上のタワーを用い、ラドン濃度、CO2濃度、CO2フラックス、および微気象の観測を5月から11月にかけて行った。ラドン濃度については(1)斜面上昇流時には、稜線上のタワーで濃度が増加する傾向見られた。これは、斜面に沿って上昇する過程で土壌から放出された^<222>Rnが気塊に蓄積され、稜線部タワーに高濃度の気塊が輸送されたことによると推定された。(2)斜面下降流時には、斜面上のタワーの地表付近のみで濃度増加が見られた。これは、斜面に沿って下降する過程で土壌から放出された^<222>Rnが気塊に蓄積され、斜面上のタワー地表付近に高濃度の気塊が輸送されたことによると推定された。これらの結果を用いてCO2の夜間の斜面下降量の推定を試みた。2008年8〜10月で有効なデータが得られた32の夜のうち、夜間、斜面下降流が起きていた19の夜について試算したところ、平均すると0〜3mの層に放出された^<222>RnおよびCO_2のうち、それぞれ約半分が鉛直上方へ輸送され、残りの約半分が下降流により斜面下方へ流出されているということが示された。 (3)数値モデルを用いて端のある森林キャノピーのフェッチについて考察した。20m程度の樹高を仮定した場合、流入境界から500m程度までは森林上ではその森林を代表するフラックスは観測されていないことが示唆された。以上のポイントからフラックス観測の補正法を再検討すべきことが示唆される。
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Research Products
(14 results)