2007 Fiscal Year Annual Research Report
内殻電離・オージェ効果によるバイスタンダー効果誘発に関する研究
Project/Area Number |
17201016
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
小林 克己 High Energy Accelerator Research Organization, 物質構造科学研究所, 准教授 (20114077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 徳子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (60232807)
前沢 博 徳島大学, 医学部, 教授 (00138653)
古澤 佳也 放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (50260237)
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Keywords | 環境 / 放射線 / マイクロビーム / 低線量影響 / 生物物理 |
Research Abstract |
本研究の目的を達成するために平成17年度は、水平のマイクロビームを用いて細胞試料を照射する垂直型二次元自動ステージを備えた水平型顕微鏡を開発し、かつ細胞の状態を良好に保つ試料皿を開発した。 18年度から、システム全体のテストをかねた細胞照射実験を開始し、ハードウエアおよびソフトウエアにおいていくつかの改善を経て、実験を開始した。細胞内在性のカルシウムおよび細胞内に取り込まれDNAと結合する鉄含有錯体で処理した細胞での鉄に着目し、それぞれのK殻吸収端前後のエネルギーのX線を照射して、バイスタンダー細胞死誘発に関して内殻吸収に依存して効率が変化するかを調べた。 得られた結果は以下の通りである。1)内在性カルシウムをねらった実験では吸収端前後では差はみられなかった。カルシウムの含有量が少ないためと判断された。2)フェナンスロリン鉄錯体で処理した細胞では、2a)照射された細胞の生存率は鉄の吸収がないX線で照射した方が低かった。2b)バイスタンダー細胞死についても、鉄の吸収がない方が顕著に見られた。2c)細胞核だけを照射した場合のバイスタンダー細胞死については、照射X線エネルギーの違いによる効果は見られなかった。 実験開始前には、鉄の内殻吸収それに引き続いて起きるオージェ効果が起きた方が生物効果が大きいと予想していたが、実験結果は逆の傾向を示していた。また、細胞内での照射部位によって異なる結果が得られたことから、細胞内の鉄錯体の分布と考え合わせて、メカニズムの検討している。
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Research Products
(2 results)