2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17201023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 康二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10107443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目良 裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40219960)
福谷 克行 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10228900)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 赤外吸収 / 非線形光学 / ナノ分解能 / 近接場 / カーボンナノチューブ / 光電場増強効果 / 偏光変調法 |
Research Abstract |
2つの異なる波長のレーザー光を走査トンネル顕微鏡(STM)の探針と試料間のギャップに照射すると局所的に差周波光が発生する。その発生原理と、赤外吸収スペクトル信号の起源、を解明することによって、分子(広義)の同定と特定部位の結合・電子状態を室温においてもナノスケールで解析できる新しい顕微分光手法=差周波励起ナノスペクトロスコピー=の適用可能範囲を明らかにすることを目的とし、今年度は次の実験を行った。 (1)集光光学系の改良:レーザー光の照射強度を高めるため、波長限界近く(5μ)まで集光し、スポット位置を微調整できる光学系を組んだ。 (2)偏光変調法による探針熱膨張抑制:レーザー光を集光する代償として、断続照射による探針の熱膨張効果が大きくなり、所望の信号がこれに埋もれてしまう。これを回避するために、所望の信号が強い偏光依存性を持つことに着目し、従来の強度変調の替わりに偏光変調法を試み、熱膨張による余計な信号を大幅に抑制することに成功した。 (3)カーボンナノチューブSTM探針の作成技術の開発:差周波励起ナノスペクトロスコピーを実現するためには、STM探針直下での照射レーザー光の光電場を増強することが有効である。アスペクト比の大きなカーボンナノチューブ(CNT)は、バンド間共鳴吸収によって大きな光電場増強効果が期待される。様々な化学処理を施したCNT粉末を脱イオン水に分散させ、高周波電気泳動法によりW探針の先端にCNTを吸着させる方法を開発した。化学処理効果はラマン分光装置により評価し、加熱した過酸化水素水により完全性の高いCNTを残す処理が最も有効であることを見出した。
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