2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノバブルの安定化および崩壊メカニズムの解明に関する研究
Project/Area Number |
17201028
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) |
Principal Investigator |
高橋 正好 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00344151)
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Keywords | 酸素ナノバブル / オゾンナノバブル / ゼータ電位 / 水酸基ラジカル / 圧壊 / 生理活性 / 殺菌効果 |
Research Abstract |
ナノバブルの安定化メカニズムについて検討したとともに、酸素ナノバブルの定量評価法としてフリーラジカルによる手法を検討した。マイクロバブルの研究から、ナノバブルの安定化メカニズムとしては気泡周囲にイオン類が濃縮するモデルが考えられる。マイクロバブルの縮小時において、気泡のゼータ電位を測定したときに、気泡がゆっくり縮小しているときには電位の顕著な変化は認められないが、縮小速度が上がるとゼータ電位の急激な増加が確認される。気泡の帯電の原因としては気液界面にイオン類が集合している状況が考えられる。ゆっくりした縮小では過剰となった電荷(イオン類)は周囲に拡散するが、縮小速度が大きい場合には電荷が濃縮する。この現象は水中における電荷の移動が十分に遅いことを示している。ナノバブルはマイクロバブルを圧壊させて作るが、この時にはほぼ瞬時に気泡を極小化しているため、電荷は拡散する時間が無く微小な気泡の周囲に極めて高濃度に集まる。ところで、水の気体溶解量はイオン濃度に反比例する(Salting out現象)特徴を持っている。このためナノバブルサイズの気泡に縮小された場合、気泡の周囲にイオンが極めて高濃度に濃縮して一種の殻を形成し、気泡内部から周囲の水への気体の移動(溶解)が抑制される。その結果、気泡は長期に安定して存在するモデルが考えられる。また、オゾンナノバブルのみでなく、酸素ナノバブルからもフリーラジカルの発生を確認した。測定はスピントラップ剤としてDMPOを利用して、電子スピン共鳴法で行った。通常、酸素ナノバブルからフリーラジカルが発生することはないが、塩酸などの強酸により刺激を与えることによりこれをDMPOのスピンアダプトとして観測することができた。観測されたスピンアダプトはDMPO-OHであり、水酸基ラジカルの発生が予測される。また、その強度は酸素ナノバブルの分量に相当していると思われるため、定量評価法として利用できる可能性がある。なお、ラジカル発生メカニズムとしては、酸素ナノバブルが崩壊したときに、周囲に濃縮したイオン群の構造が不安低化するためと考えられる。
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Research Products
(3 results)