2005 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における「地方分権化」の制度構築・評価法の総合的研究
Project/Area Number |
17201049
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松並 潤 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70268217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 隆 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (40092241)
土佐 弘之 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70180148)
松永 宣明 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (80127399)
金子 由芳 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (10291981)
永井 史男 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (10281106)
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Keywords | 地方分権 / 多国籍 / 地域経済 / 国際研究者交流 / 地方自治 |
Research Abstract |
3年間の研究期間の初年度にあたる平成17年度には、現地調査を行うとともに、経済学・政治学・法律学の分野でこれまで蓄積されてきた地方分権化に関する知見の共有化を図るため、研究会を行った。この研究会によって、本研究の課題である地方分権化について、東南アジアを中心とした各国で、かなり異なるスヒードと方向性を持つ改革が、同時に進行していることが明らかになった。 1 タイなどでは、民主化の一環としての地方分権改革が進められ、実際にも地方自治体の成長が見られる。ただし、国政における民主化と地方分権化は必ずしも平行して行われたものではなく、大衆民主主義化の中で首相への権限強化で地方分権化が後退するなとの現象も見られる。 2 インドネシアなどでは、権威主義体制の崩壊とともに急激な地方分権化が進められ、権威主義体制の下でかろうじて成立していた「国民国家」の解体の可能性すらある。 3 ベトナム・ラオスなどでは、一党制を維持したまま地方分権化が進められており、強力かつ融合した国家・党機構の中で、下部への権限の移譲が行われている。 4 このような異なる地方分権化により、外国企業の投資行動などにも違いが発生している。税制を含む地域間格差の拡大と一部に見られる混乱は外国企業の進出を抑制する一方、地方分権により地方独自の政策として直接投資を促進することが可能になり、外国企業の積極的な投資行動が見られる場合もある。 5 国によっては、世銀・ADB・IMFなどの国際機関や欧米諸国や日本によるODAの条件として地方分権化の推進が求められた結果分権化が進められており、ドナーの意向・ドナー国の中央地方関係が、大きな影響を与えている。 平成18年度においては、冒頭に述べた異なる地方分権化の実態を更に明らかにするとともに、異なる地方分権化が、労働・金融・企業などの分野で地域経済などに与えた影響についても検証したい。
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