2007 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における「地方分権化」の制度構築・評価法の総合的研究
Project/Area Number |
17201049
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松並 潤 Kobe University, 国際協力研究科, 教授 (70268217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 史男 大阪市立大学, 法学部, 教授 (10281106)
土佐 弘之 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70180148)
金子 由芳 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (10291981)
白石 隆 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (40092241)
香川 孝三 大阪女学院大学, 国際英語学部, 教授 (20019087)
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Keywords | 地方分権 / 多国籍 / 地域経済 / 地方自治 / 地方財政 / 国際援助 |
Research Abstract |
3年間の最終年度にあたる平成19年度には、締めくくりそして今後の研究につなげるための現地調査を精力的に行うとともに、これまでの研究によって明らかとなった、各政策領域における地方分権改革のもつ、異なる意味・影響をより理論的にまとめる努力を行うとともに、各研究分担者の研究成果の公表に努めた。 1 政治学・行政学見地から見れば、地方分権は、万能薬あるいはマジックワードとして使われることがあり、政策目標とは無関係、あるいは政治的経済的文脈を無視した分権改革が行われた結果、地方分権のマイナス面、副作用が見られる場合も多い。 2 経済学的分析によれば、地域経済にも地方分権改革の影響が見られる。特に外資による投資などでは、分権改革により-国内における投資にかかる条件が異なるという事態を招き、独自の規制緩和を行うなど地方分権を利用する形で投資を集めることに成功した地域と、政治的腐敗の分散・地方独自の規制強化による投資の退出を招いた地域が生じている。より国内的文脈による中小企業においても、地方分権の影響がより大きなものになっている。 3 しかしながら、これらを総合的に評価する評価法は未だ確立されていない。個々の政策領域に関する評価は、国別評価から地域別評価が可能になりつつあり(例えば汚職に関する地域別データ)、これと経済パフォーマンスの関係を問うことが可能になりつつある。しかし、(1)地方分権がともすれば無条件に肯定されるものであったこと、地方分権そのものは政策過程に入力される数多くのインプットの1つにすぎないこと、(2)国によっては分権改革の影響が現れ始めたところであり、分権が各政策領域にどう影響したかの評価は、まだ開始したばかりである。 研究代表者及び分担者としては、今後もこれらの課題を追求しさらに地方分権の実体解明に努めたい。
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