2007 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける再生産領域のグローバル化とジェンダー再配置
Project/Area Number |
17201051
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
伊藤 るり Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 教授 (80184703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 眞理子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (10347479)
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (40302335)
イシカワ・エウニセ アケミ 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (60331170)
大石 奈々 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (70384005)
小ヶ谷 千穂 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (00401688)
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Keywords | グローバル化 / 国際移動 / ジェンダー / 再生産労働 / アジア |
Research Abstract |
プロジェクト3年目にあたる2007年度は、調査研究を継続的に進めるとともに、研究成果を中間報告的に発表し意見交換を行うため、国内外の研究者(国外からは韓国、台湾、シンガポール、米国)を招き、国際シンポジウム「再生産領域のグローバル化とアジア-移住者、家族、国家、資本」(於一橋大学、プレシンポ「映画で観る<アジアにおける国際結婚、そして再生産労働の国際移転>」:2007年12月7日、国際シンポ:12月8日〜9日)を開催した。 シンポジウムは「移民政策と再生産領域」、「再生産労働の国際移転と移住労働者の権利」、「親密圏における越境と商業化」、「高齢者ケアの制度化と移住労働者(1)シンガポール」、「高齢者ケアの制度化と移住労働者(2)日本」、「総括討論」の6つのセッションから構成され、全部で14本の報告がなされた。シンポジウムは意見交換を可能とするため先着50名で一般にも公開した。 本シンポジウムでの議論の特色、ならびに成果は、概略3点に要約することができる。 1.労働力の再生産を担う労働という意味での「再生産労働(家事、子育てなど)」だけでなく、再生産システムそれ自体の再生産の「危機」に関わる多様な諸事象(国際結婚の商業化、高齢者ケアの制度化など)を包括的に「再生産領域」の問題群と捉えたこと。 2.近年のアジア地域に見られる国際移動の傾向(国際移動の女性化、セックスワークの越境化、国際移動の拡大によって促進される越境的婚姻市場の形成、ヘルスケア労働者の労働移動など)をつうじて「再生産領域のグローバル化」を把握し、新しい研究領域を切り拓いていること。 3.高齢者ケアを担う移住労働者の位置づけをめぐる交渉には、移住者、家族、国家、資本など複数のアクターが加わるが、その交渉モデルの把握に向けて計量調査結果も踏まえた、予備的検討が行ったこと。 なお、本国際シンポジウムでの報告、コメント、討論内容は中間報告書としてまとめた。
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