2007 Fiscal Year Annual Research Report
〈醜〉と〈排除〉の感性論-否定美の力学に関する基盤研究-
Project/Area Number |
17202004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇佐美 文理 Kyoto University, 文学研究科, 准教授 (70232808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋庭 史典 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (80252401)
岩城 見一 京都国立近代美術館, 館長 (40025086)
上村 博 京都造形大学, 芸術学部, 教授 (20232796)
魚住 洋一 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (10168669)
碓井 みちこ 早稲田大学, 演劇博物館, 助手 (00434358)
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Keywords | 美・氣・忌・死 / 身体美学 / ヘーゲル派 / アドルノ / 不気味さ / 写楽 / 醜陋 / メドゥーサ |
Research Abstract |
今年度は、本研究の最終年度に当たる。このためまず目指されたのは分担者の論文を収めた報告書の編集である。幸い報告書は、代表者宇佐美が中国哲学研究者を中心に論集としてまとめた『中國思想における美・氣・忌・死』、前代表者岩城が編集した『<醜>と<排除>の感性論-否定美の力学に関する基盤研究-』の二つを刊行できることになった。後者には、当研究分担者17名の論文が収められ、醜と排除というテーマを巡り、「身体美学」、「醜の美学」の出発点としての「へーゲル派の美学と後期シェリング」、「アドルノ美学」、「現代美術における不気味さ」、写楽における「醜陋」、「メドゥーサ」、「病草紙」、「異相」像に表された良源、「心霊写真」、彫刻家イサム・ノグチの「二重国籍性」、等々、古今東西にわたって広範な醜の問題が論じられている。なお今年度は当初予定されていた分担者による公開講演会は、分担者、および企画を担当すべき岩城の日程が合わず開催できなかったが、各分担者は、それぞれ内外でこの研究にかかわりの深いテーマで口頭発表し、またあるものはシンポジウムの司会、パネリストを務めた(北村清彦、加藤哲弘、「第17回国際美学会」(アンカラ)で発表。西欣也、「哲学と文学国際会議」(ヘルシンキ)で発表。篠原、講演「目の中の星」(台北大学)。加須屋「国際日本研究会議」(クラクフ)で発表。宇佐美「日本中国学会第58回大会」で発表等々。また今回提出される二つの報告書以外にも、分担者は各自、学会誌をはじめとして様々なかたちで成果を公にした(業績表参照)。これらの成果はさらに次の一歩を踏み出すための土台になる。多くの読者の意見、批判を待ちたいと思う。
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Research Products
(5 results)