2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17202018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森安 孝夫 Osaka University, 文学研究科, 教授 (70157931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 正晴 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10283699)
高橋 照彦 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10249906)
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Keywords | シルクロード / 唐 / ソグド / 突厥 / 北魏 / 陰山山脈 / 単于都護府 / フフホト |
Research Abstract |
最終年度は予算が少ないことが判明していたので、現地調査隊の規模はこれまでの3年間と比べて小さくおさえた。研究分担者の荒川正晴を隊長、同じく高橋照彦を副隊長とし、若手の研究協力者を加えた7名が、8月21日から9月4日まで、中国の山西省および内蒙古自治区において、景観・環境を実見すると共に、各地の博物館の所蔵品を調査した。一方、代表者である森安孝夫並びに他の研究分担者は、これまでの4年間の成果をそれぞれ論文としてまとめるべく、机上での研究活動に主眼を置いた。 本研究班の主要目的の1つは、シルクロードがユーラシア史の主要な舞台であった時代の歴史を再現するために、文献史料や地図だけでは分かりにくい地理的環境や景観などを現地調査によって把握することであった。それゆえ毎年、調査ルートや遺蹟の景観を詳細に記述する行動記録の作成に労力を注いできたが、最終年度は先行する3年間で踏査できなかった重要ルートの追加と、行動記録の不十分だったところを補完することを目指した。そのため先ずは太原に入り、そこから代県、句注山越え、大同、ホリンゲル(土城子遺跡)、フフホト、陰山山脈越え、武川鎮候補地、百霊廟鎮(オロンスム遺跡)へと北上するルートを辿り、農牧接壌地帯の高度による景観の変化を体験・記述してもらった。今回の調査で得られた主な成果は次の2点である。 (1)ホリンゲル県の盛楽博物館で、唐の元和九(814)年に作成された「劉如元墓誌」を実見し、録文を採った。本墓誌は、従来は不鮮明な拓本写真が公表されているのみで、録文や専論は発表されていなかったが、採録した墓誌の内容から、これまで不明であった唐の羅魔支配機関である単于都護府の所在地を確定することができた。(2)シラムレン鎮の古城を実地調査することにより、武川鎮の所在地問題に新たな材料が得られただけでなく、付近で北魏の長城線といわれる土塁跡を確認した。これまで六鎮問題を検討するにあたり、陰山北側における北魏長城線の存在など誰も考慮してこなかったが、今後とくに陰山北側に残る北魏〜突蕨時代の遺跡・遺物の確認と精査が必要であることを、今回の調査で認識した。
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Research Products
(6 results)