2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17202021
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
金田 明大 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 埋蔵文化財センター, 研究員 (20290934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 謙一 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 企画調整室長 (70110088)
小池 伸彦 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 上席研究員 (90205302)
高妻 洋成 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究員 (80234699)
豊島 直博 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (90304287)
和田 一之輔 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (40416409)
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Keywords | 三燕 / 随唐墓 / 騎兵装備 / 俑 |
Research Abstract |
中国東北地方において4世紀に成立した騎兵装備のなかで、ヒトが着用する鎧は、漢代にあった2種の鎧甲のうち、鞐形あるいは楕円形に近い小札を用いた鎧甲ではなく、細長い長方形の小札を用いた鎧甲の系譜につながることが明らかとなった。ただ、漢代の後者の鎧甲では、胴部の小札を固定綴にしているのに対し、4世紀の騎兵装備における鎧甲では、それを可動綴とした点で大きく異なってくる。馬上における動きやすさを考慮してのことと考えられるであろう。騎兵装備は、韓半島を経由し、5世紀の中葉以降の日本列島において、その存在を確認することができるのであるが、挂甲が数多く出土するのに対して馬甲・馬冑の出土が極めて稀であることから、重装騎兵は普及しなかったと考えられる。これは、当時、日本列島においては、重装騎兵による戦いを必要としなかったことを示すとともに、騎兵装備が騎兵戦という戦闘方法と一体のものとして取り入れられたのではなく、単により性能の高い新しい武装として導入されたことを物語っているのであろう。 一方、昨年に引き続き調査した隋唐墓から出土した俑には、大別して焼成による陶俑と乾燥による泥俑がある。それらの製作技法を検討した結果、同じ笵から作られた俑にあっても、「工人のくせ」とでもいうべき違いを見出すことができたことから、一定量以上の数を必要とする同笵俑の製作にあたっては、複数の工人が関与している状況を想定することができるであろう。また、あわせて、施釉や加彩のある俑に対する理化学的分析に向けての予備調査もおこなった。
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